28*一日張り付いてみました
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事なく、シルバはさらに彼女の腕を強く握る。
「痛い痛い痛い痛い痛い、ちぎれますちぎれますちぎれるっだだだだだ!!」
「ふふ……ふふふふふ……私と……先生が……ふふふ…」
ガンッ!ゴンッ!
「あんたらうるさい、静かにしてよ」
さわぐ二人に隊長の鉄拳制裁がくだる。
「っつ〜〜〜…」
「な、なんで私まで……」
頭を抱え、転がる二人。
そんな二人が痛がっているうちにも、下ではどんどん話しが進んでいく。
「いやでも!どうやって!?戦争以外は自分、何もやってないんですよ!?」
「あら、やってるじゃない。戦争でのあなたの活躍や戦後のゴタゴタとかで忘れ去られていたものが」
「……ありましたっけ?」
「あるわよ……盗賊団“朱きグム”の壊滅、あと戦争の報酬に逆賊の討伐分が入れ忘れられてたのでそれも」
王妃のその言葉に唖然とする四人。
それもそのはず、朱きグムとはこの世界でも五本の指に入ると言われている盗賊団なのだ。
小数精鋭で、個々の戦闘力が魔法を使いこなし並の兵士より遥かに強く、団をまとめ上げている頭の指揮能力が高いのだ。
小数である事を生かした多様な作戦に全員魔法を完全に使いこなすという、そこらのならずものの集まりな盗賊団とは訳が違うのだ。
「……あれですか、あなたの事をナルミ様が身をていして護ったていう盗賊団ですか」
「……たしか、あれ先生が一撃で全員気絶させたんですよね……」
「………討伐に兵士を三回送っても倒せなかったのに…」
「……まさに化け物ですね」
再びあらためてナルミの強さを実感する三人なのであった。
そんな感じにしみじみしているうちにも、話はどんどん進んでいく。
「議会はもう通っているわ。これに署名してくれたらもう、あなたはハセガワ家の当主、ハセガワ・ナルミよ。貴族でもそれなりに高い地位だから、ある程度の融通をきかせる事も可能よ」
「……マジっすか。いくらなんでもはやくないっすか?」
「何事も早め早めが一番よ」
「……貴族って、政治とかしなけりゃならんのでは?」
「違うわよ、政治は政治、貴族は貴族。あ、ちゃんとお家も建ててあげるわよ。シルバちゃんとの愛の巣ね」
「…………」
「ついでに言うと、休暇についても支障はないわよ。あなたには反逆者から没収した領地も贈呈するから、そこの様子を見にいくついでに旅に出るって言えば問題ないわ。あいつも一応それなりな貴族だったから、そこにはあなたの別荘もあるわよ」
「……別荘って……どこの軽井沢よ……はは…ぱねぇ……どんな出世だよコノヤロー」
そう言って崩れ落ちるナルミ。
目は虚ろで机に突っ伏している。
「どうした?何か問題でもあったか?
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