第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
戦場で手柄を立てて、貴族に成る事では有りませんから」
そもそも、このトリステインとアルビオンの戦の理由は、人間レベルの理由が主で、神界や魔界からの影響を大きく感じない以上、俺やタバサが直接関わる訳には行きません。
国内の沸騰した世論の抑え込むよりは、他国を侵略する事を選んだトリステイン王家。
聖地奪還を大義名分として、トリステインへの謂れなき侵略行為を行ったアルビオン。
どちらも、人間レベルの目的に因る戦争ですから、仙術を極める人間が関わって良い出来事だとは思えません。確かに、殺人祭鬼のような連中が暗躍した可能性は存在して居ますが、その部分を暴き立てて糾弾すべきは俺ではなく、この世界の住人たちの誰か。
かりそめの客人に過ぎない俺の仕事では有りません。
まして、貴族になど成らなくても、自らと、そしてタバサやその母親の生活の糧を得る方法が俺には幾らでも有りますから。
但し、漠然とした不安も……。
現在のタバサを包む状態。ガリア大貴族としての未来を決められた状況が、俺や彼女が選んだ結果ならば。
そして、能力を持って居る人間にはそれなりの責任と言う物が有り、俺の選んだ結果によって発生した責任と言う物が、もしも、その手の物で有った場合は……。
貴族や騎士には、当然、従軍の義務と言う物も存在しますし、封主を護る義務や、領民を護る義務も存在しますから……。
但し、タバサはガリアの騎士。そして、現在のガリア王家は、今回の戦争に介入する意志は皆無。
それならば、
「我が主が望まない以上、私が戦場に立つ事は有りません」
……と、答える俺。
その俺の答えに、タバサは言葉にして答えを返す事は有りませんでしたが、小さく首肯く事に因って答えと為した。
片や、キュルケの方は……。良く判らない雰囲気を発して居ますね。ただ、能力を持って居ながら戦場に立とうとしていない俺の事を軽蔑している雰囲気では有りません。
おそらくは、タバサの使い魔として俺の立場を鑑みると、俺の判断に間違いがないと思って居るのでしょうが、それにしては、少し陰に近い雰囲気を放って居る事が解せませんね。
そして、コルベール先生自身も微妙な気を発して居ます。
これは……。
「コルベール先生」
俺の呼び掛けに少し視線を落としていたコルベール先生が、こちらに視線を向けた。
そして、
「何ですか、シノブくん」
……と、普段と変わらない調子で答えを返して来るコルベール先生。しかし、矢張り未だ陰の気が強い状態。
それならば、
「先生は、私が暮らして来た世界で、何故、魔法が一般に広まらなかったのか判りますか?」
そう、意味不明の問い掛けを行う俺。
この問い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ