第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
[8/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
零戦の狭い操縦席の中で操縦桿を弄って居たコルベール先生に声を掛ける俺。そんな俺の隣で、普段通りメガネ越しのやや冷たい視線で零戦を興味無さそうに見つめる蒼き吸血姫と、そして、少しの陰気の籠った視線で見つめるキュルケ。
この二人の反応の意味は良く判りませんが、少なくとも、二人ともコルベール先生にはあまり関心がない事だけは確かなようです。
「何ですか、シノブくん」
操縦席から立ち上がりながら、俺の呼び掛けに答えるコルベール先生。しかし、ローブと言う服装は、こう言う機械整備に向いている服装と言う訳ではなさそうですね。彼方此方が引っ掛かって、流石に動き辛そうですから。
「この零戦を、トリステインは次のアルビオンとの戦争に投入する心算なのでしょうか?」
一応、そう問い掛ける俺。但し、これは確認作業に過ぎない行為なのですが。
少なくとも、この戦力を温存して置けるほどトリステインに余裕が有るのなら、下士官が足りないからと言って、魔法学院の生徒の徴用など行うはずは有りませんから。
案の定、少し暗い表情で一度零戦を見つめた後に、コルベール先生は首肯いた。
確かに、自らの教え子を喜んで戦場に送り出す教師はいないでしょうから、このコルベール先生の反応も首肯けますか。
「それなら、二十ミリ機関砲と七・七二ミリ機銃の弾は残っているのですか?」
この零戦に関しては、元々、第二次世界大戦下の戦闘中に何らかの要因で、このハルケギニア世界に紛れ込んで来た機体だと思います。故に、武装も最大の携行弾数を持って移動して来たとは限りません。
まして、機銃の方は携行弾数も多いのですが、機関砲の方は命中精度も低く、更に携行弾数も少なかったはずですから、次の戦争に使用出来る弾が残って居るかどうかは微妙な線でしょう。
「大きな銃の方はもう弾は残って居ません。小さい方は、未だ二百発ほど弾は残って居るようですね」
コルベール先生がそう答えた。それに、確か、七・七二ミリ機銃の弾は最大で七百発ほどの弾が装填可能だったはずですから、多少の弾が残って居たとしても不思議では有りませんか。
それならば、
「機関砲と機銃の補充用の弾薬は私が用意しましょうか。本来ならば、私が関わっても良い事ではないような気もしますが、才人が扱う零戦ですし、トリステインでは用意出来ない代物の可能性も高いと思いますから」
この零戦が戦場と成る空を飛ぶとするのなら、それを扱うのは才人しか考えられません。
そして、俺はタバサの使い魔で、そのタバサはガリアからの留学生ですから、今回のトリステインとアルビオンとの戦争に関しては関わる必要はないし、ウカツに関わる事も許されないと思います。
但し、同時に才人。そして、ルイズも友人で有る事は間違い有りません
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ