第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
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引き続きのキュルケの問い掛け。
確かに、俺の足りない頭では、今度の戦争にトリステインに勝ちが転がり込む公算は非常に低いとは思っているのですが、その程度の事は何処の為政者でも考えているはずです。
そして、今度の戦争に関して言うなら、トリステインは時期を逸しているでしょう。侵攻する側に成って居る以上、地の利はアルビオンに有り。最後の人の和に関しては、アルビオン討つべし、と言う強い声に押されての侵攻で有るので、国内の世論は開戦すべし、と言う方向に傾いているようですが、同盟国のゲルマニアからは義勇兵以上の増援は期待出来ない状態。
天の時、地の利はアルビオン。人の和は……宗教的な結束力を持つ以上、アルビオンの方が有利な可能性も有りますか。
「普通の場合なら、現状でのアルビオンとの開戦は不利な状況しかないと思うけど、それを無視しても余り有る有利な条件をトリステインが持って居る可能性が有る以上、門外漢の俺には何とも言えないかな。
例えば、強力な新兵器が存在しているとか、強力な援軍の当てが有るとか」
俺に言えるのはこの程度ですか。
それに、トリステインには伝説の魔法の系統虚無に選ばれた継承者と、その使い魔が居るので、彼と彼女の実力如何に因っては、この不利な状況を覆せる要因には成ると思いますから。
実際、どんなやり方でも戦争に勝てば良いのなら、俺ならば流星を降らせる事に因って都市のひとつやふたつは壊滅させる事が可能です。俺に出来る事が、仮にも伝説の魔法の系統と呼ばれる虚無に為せないとは限りませんから。
重力を自在に操ると言う事は、つまり、そう言う事ですからね。
まして、降らせるのが流星……つまり、大質量の岩や氷などではなく、ハルファスに調達して貰った爆弾の類でも良い訳ですから。
そんな、トリステインやアルビオンの為政者ドコロか、実際に戦場に立つ事さえない俺とキュルケが、適当に会話を行いながらやって来たのは……。
火の塔の隣に有るコルベール先生の研究室の前には、アウストリの広場から、こちらの方に移動させられていた濃緑色のレシプロ機の前に到着する俺たち三人。
その、日本の戦闘機としては一番有名な戦闘機の操縦席の中には、良く見知った光頭人種の先生が、機械油に汚れたローブを纏った姿で整備を行って居る。
そう言えば、この零戦も、中世レベルのこのハルケギニア世界では超未来の兵器のひとつでしたか。但し、これ一機で戦局を左右出来る程の力はないとは思いますが。
確かに爆装は可能だったとは思いますが、それでも六十キロ爆弾程度だったと思いますし、そもそも、その六十キロ爆弾がこのハルケギニア世界にはないと思いますから。
いや、そう言えば……。
「コルベール先生」
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