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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
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る可能性も有るのですが。

 それで、今度の戦争は国境付近で行われる小競り合い、と言う雰囲気の紛争ではなく、トリステインに取っては、アルビオンの息の根を完全に止めて仕舞う事を意図した戦争で有る以上、都市を制圧した後の防衛を行う為の戦力や、伸びて行く補給線を維持する戦力がどうしても必要とされるタイプの戦争です。
 そんな部分を担う兵を、傭兵や騎士団所属の騎士たちにやらせるのは流石に勿体ないですし、トリステインの財政的負担も大きく成るばかりで戦線を維持出来る訳は有りません。
 普通に考えるのなら、その部分は雑兵として徴用した農奴に任せるべき部分ですから。

「そして、その徴用した雑兵や急遽登用した下士官たち。更に、歴戦の勇士の傭兵とは言っても最低限の練度を確保しなければ、集団での戦闘行為など出来る訳はない。
 その訓練に最低一カ月。おそらくは、二カ月は必要」

 それでも、即席の軍隊と言う感は否めないのですが。
 しかし、此処は日本の九月では有りません。既に日中の最高気温は二十度を切る事が珍しくなく成り、最低気温の方も一ケタ台を付けて居る日が有るはずです。

「九月から練兵に二か月。すると、開戦自体は十一月(ギューフの月)。アルビオンの十一月の気温がどれぐらい有るか判らないけど、五月(ウルの月)に向かった時に感じた気温や、アルビオンの高度などから考えると、かなり低い気温と成る可能性が高いからな」

 そもそも、イギリスと言うのは、日本で言うなら北海道並みの高緯度に存在して居り、本来ならばかなり寒冷な地域に存在するはずの地域なのですが、メキシコ湾流などの暖流の影響で温暖な地域と成って居たはずです。
 しかし、この世界のアルビオン(イギリス)に関しては暖流の影響など皆無。更に、上空に存在する為に気温に関してはかなり低い可能性が高いでしょう。

「余程の短期決戦を挑んだとしても真冬に向かって行く現在の状況では、厳冬下での戦闘を想定していない限りは、遠征軍となるトリステインに取っては辛い戦争に成る事は間違いないな」

 まして、二カ月足らずの速成仕様の軍隊では、厳しい冬将軍が到来する地域での戦争は難しいでしょう。それに、補給線の問題も有ると思います。
 そして、片やアルビオンの方は最初の上陸戦を阻止出来なければ自国内の戦いですから、当然、自国の冬に関しては毎年経験して居ます。更に自分の生まれ育った国を、他国の侵略から護る戦で有る上に、聖戦を行うと言う宗教的な目的も有る為に、アルビオン国民の戦意は非常に高いはずです。

 余程の戦力差がない限り、この不利な状況を覆す事は……。

「シノブの言葉を聞いていると、この戦争はトリステインに不利な部分しかないみたいに聞こえて来るのだけど、そんな状態で大丈夫なの、この国は?」

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