第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
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を持つに至るのは、その百人の内の一人か二人。こんな、才能にのみ左右される世界では、使い方さえ知って居たのなら、誰でも使用可能な科学の方がずっと上ですから。
それに、その方が平等でも有ります。
皆が皆、死に至る寸前から舞い戻って来られる訳では有りませんからね。
俺が仙術……。いや、龍種の血に目覚めたのはそう言う状況でしたから。
其処まで話してから、コルベール先生を見つめる俺。
そして、
「方法さえ、……仕組みさえ覚えられれば、天分などに左右される事のない科学技術こそが、万人を幸福に導く物だと私は思って居ます」
確かに、科学の発展により戦争は、因り巨大な物と成って行った事は否定しませんが、それも、科学技術が精神に左右される物ではなく、単純な技術の結晶で有る事の証。使う人間の質に因って左右されているだけで、科学技術が悪魔の産物だと言う事では有りませんから。
「私の世界でも、黎明期の頃の科学者は、錬金術師などと呼ばれていた時代も有りました。それでも、彼らの操る科学技術が、精霊や神霊、精神などに左右される物などではなく、自然界に存在している単純な法則の発見や技術の積み重ねから出来上がった物で有る、と言う事が認知されて行く事に因って、彼らは科学者として認知されて行くように成ったのです」
初期の頃の科学技術の発展に、錬金術の実験が果たした役割は大きいですからね。
「私の知る限り、この国……トリステインで唯一の科学者のコルベール先生には、コルベール先生の進むべき道と言う物が有ると思います」
まして、教師や科学者と、軍人と言うのは、両立させ難い職業だと思いますから。
何かを生み出すのが科学者ならば、それを育てるのが教師。
そして、破壊するのが軍人。確かに、自らの生まれた国を護ると言う言葉は存在して居ますが、庶民のレベルから考えてみると、支配する層がトリステイン貴族で在ろうが、アルビオン貴族で在ろうが、その両者の間に差など感じないはずですから。
まぁ、このコルベール先生と言う御方は誠実な方なのでしょう。自らの教え子たちを戦場に送り出し、そして、自らが整備した異世界の武器。飛行機を使って、才人が戦争の最前線に放り出されようとしている事に、自らの行動に対する疑問が出て来たとしても不思議では有りません。
もっとも、そんな繊細な人間では教師などと言う職業は出来ないと思いますけどね。
昨日まで、御○○を拝んで、教○勅○を諳んじていた人間が、一夜にしてア○リカ○主○義万歳。と言い出せる鋼の精神力を持ち、更に、卒業式などの行事の際に校歌を歌わない生徒を殴り飛ばせても、国歌を歌わない事は自らの信条だと平気でうそぶく事が出来る厚○無○な方々が就任なされる素晴らしい職種ですから。
正に、聖職と呼ぶ
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