第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
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に関しては、タバサからも興味を示す気が発せられる。
「そう言えば、最初、シノブくんの世界の魔法については、秘匿された技術で、普通の人々は魔法とは関係しない形で暮らして行くと言っていましたね」
コルベール先生の言葉に、タバサが首肯いて同意を示す。
「しかし、このゼロ戦と言う乗り物に使用されているネジやその他の部品は、どれを取ってもトリステインの技術では再現出来ない物ばかりです」
流石は技術屋。魔法使いとは思えない切り口から、地球世界の科学の一端を見抜いている事を示すコルベール先生。
もっとも、零戦と言う機体は一機一機、名工の手に因って作り上げられた日本産の戦闘機ですから、結構、生産性が度外視された部分も有るので……。いや、この機体は後期生産の五十二型でしょうから、名工が一機一機、手作りをした、と言う事はないはずですか。
それでも、同時代の米軍機などと比べると、作業の工程が異常に多くて、大量生産を行うには向かない機体だったはずです。
「私の世界の魔法は、使い手を選ぶ物です」
ゆっくりと、俺は話し始めた。
そう。俺の世界で魔法を使用する為には、先ず、精霊と契約を結ぶ事が必須と成ります。つまり、最低でも見鬼の才に恵まれた人間でなければ、魔法の最初の部分に到達する事は出来ないと言う事です。
少なくとも、この世界のルーンの様に、唱えるだけで精霊を支配する事の出来る便利な術式などと言う物を俺は知りませんから。
「そして、仮に魔法を使用出来る才能に恵まれた人間で有ったとしても、炎を起こすだけならば、魔法で起こすよりはマッチやライター。この世界で言うのならば、火打石でも用意した方が早いでしょう」
確かに、俺達の世界で魔法が一般的な世界から隔絶した存在と成った理由は、一子相伝や一族にのみ受け継がれた技術で有った、……と言う部分も大きいのですが、それ以上に問題が有ったのは、その利便性。効率。経済効果。そして、確実性。
金を錬成するには、一番簡単なのは、魔界より錬金術が行使可能な魔物を呼び出して錬成させる事が簡単なのですが、そんな事が出来る人間の方が少ないですし、まして、ハゲンチやザガンなどが、簡単に人間の召喚士の言う事を聞くような存在でも有りません。
地球の裏側に移動したいのならば、移動用の能力を持った式神を召喚するよりは、飛行機のチケットを準備した方が楽です。
そして、街を丸ごとひとつ燃やし尽くす事も、魔法では手間が非常に掛かりますが、科学を使用すれば、ボタンひとつで事が足りるような世界と成って居ますから。
地球世界と言う世界は。
「そのすべての面に於いて、魔法は科学に遅れを取り、科学万能の世界へと移って行ったのです」
十人に一人才能が有って、使い物になる程度の能力
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