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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第60話 秋風の吹く魔法学院にて
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運動と言う言葉通り、スペインやポルトガルなどの地方は元々ガリア王国に属する地方などではなく独立国だったトコロを、ガリアが併合して仕舞った地方です。
 ただ、そうだとすると、アルビオンの目的はトリステインなどではなく、ガリア王国だと言う事になるのですが。

 そして、その事実は、オルレアン大公の名誉を回復する事となり、内々の事ですが、魔法学院卒業後……つまり成人後に、タバサは父親の失った地位。オルレアン大公家を正式に継ぐ事が決定しました。
 もっとも、未だトリステイン魔法学院に留学中のタバサと言う偽名の少女の正体が、実はガリアの大貴族。オルレアン大公家次期当主シャルロット姫だと言う事実が公式に発表されて居る訳では有りませんが。

 尚、本来ならば、良人が死亡した後、子供が成人前などの場合に妻に相続される地位に関しては、オルレアン大公夫人の実家のガスコーニュ侯爵家への疑念が晴れていない以上、今回の王家に因る公式な発表内で語られる事は有りませんでした。

 ただ、タバサの母親も完全に精神(こころ)が壊されて居るので、おそらくはオルレアン大公と同じ道を辿ろうとして、レコンキスタ……いや、殺人祭鬼の連中に処分されたのだとは思いますけどね。

 しかし……。
 沈思黙考の形から、一度、タバサを見つめる俺。
 其処には、まるで意識的に俺に対して視線を向けようとしない少女の、やや硬質な横顔が蒼き光に照らされて存在していた。
 そして、その横顔からは、僅かばかりの陰の気を俺に伝えて来るようで有った。

 そう。故に、タバサが俺に語った夢。晴耕雨読のような穏やかな生活と言う物は、現状では正に夢幻と消えて仕舞ったと言う事でも有ります。
 更に、魔法学院卒業後の彼女に待ち受けているのは、おそらくは貴族。大公家に相応しい血筋の男子を婿として迎え入れる事。

 それも、彼女の場合、もうひとつ高いハードル。相手は吸血姫としての自分を受け入れてくれる人物で有る、と言う部分をクリアーする必要が有るのですが。

 尚、今は未だ、彼女は血の渇きを覚えてはいないはずです。
 何故ならば、俺からの霊力の補給を受けて居る状態ですから。

 しかし、そんなお茶を濁すような方法。小手先のテクニックで躱すような方法が何時までも通用するとは思えません。吸血姫と雖も人の子。愛を知り、哀を知って居るのです。
 そして、吸血姫の血の抱擁。彼女に血を吸われ、そして同時に、彼女の血を受けた相手は、血の従者。サーヴァントと変わりますから。

 確かに、確実に変わると言う訳でもないはずです。相手の霊的な防御能力や、その時の体調。星辰の関係も有りますが、それでも尚、人間ではない存在へと変わる可能性はかなり高いはずです。
 このブリミル教の支配が強いハルケギニア世界で、覚
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