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水と人類
水と人類
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の進化が果たして正しかったのか。ただ闇雲に天災と闘ってきた我々も、そろそろ考え直さなくてはならない時期が来たのではないか。と、そう思わせる災害が2011年にタイを襲ったのだ。
 タイの首都バンコクの北にあるプミポン・ダム。数百億トンを誇るタイランド最大のダムが限界水量を超えて決壊してしまう危険性が出てきた為、自主放水を開始したのだ。その量は1日1億トン。想像もつかないような量の水はアユタヤ工業団地やサハ・ラタナ・ナコン工業団地を飲み込んだ。150もの工場を消し去り、10万人以上が失業し、今ではアユタヤにある3つの工業団地が水没の危険に曝されている。さらにこのままダムの水が進行を続ければその先には首都バンコク。そこにも227の工場と12万人の従業員がいるのだ。
この恐ろしい水害は、果たして天災なのか人災なのか、どちらなのだろう。既にキャパオーバーのダムが4つ、90%超えのダムが4つ。最早飽和状態と化したタイのダム事情を目の当たりにしながら我々は何を考えるべきなのか。ダムを造った人類の非か、それを溢れさせた自然による水害なのか。
 何とも皮肉な話である。天災を止めるはずのものが、天災に更なる拍車をかけたのだ。これからの未来、果たしてどのような進化を積み重ね、どうすれば人災を従えた天災に太刀打ちできるのだろうか。我々はこのような問題が起こり得る可能性に気付くのが遅すぎた結果今では水没都市を作りだし、10万人超えの失業者を出し、バンコクに恐怖をもたらしているのだ。
 しかし、水害は人類の誤った進化をそういう形で我々に示唆してくれた。私は、これは水害が人間に向けて鳴らした警鐘なのだと思えてならない。私達はそこから何かを学び取り、正しく進化すべきなのだ。
 では、正しい進化とは一体どのようなことを指すのか。水害の歴史は、人間に大きなヒントを与えていてくれた。黄河文明の歴史中に、その鍵が在る。
 中国文明最古の文明、黄河文明で有名な黄河。この河は独特の黄色い色をしているから黄河と呼ばれているのだが、それは河付近の砂漠の黄色い砂、黄砂が水に入り込んでいるためである。しかしこの河、昔は単に「河」と呼ばれていたのだ。黄色くなかったのである。しかもこれは徐々に黄色くなったのではなく、ある時を境に突然変わったのだ。
 時代は戦国七雄が互いに争った戦国時代。秦・燕・宋・楚・趙・韓・魏が争う時代で、史実では秦が中国を統一する。この勝利にこそ、黄河が黄河たる理由が隠されていた。秦は、独自の中央集権的な富国強兵政策を行った。その最も大きな事業の一つとして、鄭国渠と呼ばれる他国とは一線を画す運河を作成したのだ。その後、な始皇帝が王に即位して35年後に、中国統一を果たす。
 しかし、その後の度重なる過度の森林伐採によって豊かな自然は砂漠へと姿を変えたのだ。こう言える根拠はある。
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