第一幕その三
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あった。
「けれど私はポンテヴェドロの田舎娘。そのような賛辞は」
「いやいや」
「そんなことはありません」
彼等はそれでも言う。
「この様な美しい方は」
「全くです」
「やっぱりな」
男爵は四国の者達を見て顔を顰めさせていた。
「大金持ちの未亡人、しかも美女と来ては」
「男が言い寄らない筈がありませんか」
「そうだね」
秘書に対して応える。クラヴァリ伯爵夫人、ハンナはクラヴァリ伯爵の未亡人である。若くして資産家の老人と結婚したのだがその夫が程なくして死んだのだ。それで今や公国きっての資産家となったのである。その彼女の美貌と財産を狙って四国がわざわざ来ているのだ。
「だからこそ」
「わかっています」
秘書は男爵の言葉に頷く。
「だからこそ」
「警戒しよう」
彼等の言葉をよそに四国の者達はハンナに相も変わらず言い寄っている。しかしそれでも彼女は慇懃に彼等の誘いをかわし続けている。
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