裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、看破する
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剣を手にとって、鑑定スキルを発動。
固有名《シャドウピアス》
武器カテゴリ《短剣》
製作者名《Lilia》
特殊効果《隠蔽スキル補正》
製作者名は『Lilia』。噂の鍛冶師で間違いない。
単純な武器性能も高い上に、隠蔽スキルが補正されるエクストラ効果付き。最前線でも十分に使っていけるレベルの品だ。
他の武器にも鑑定スキルを使ってみると、そちらも負けず劣らずの高性能品だった。噂通り、かなり質のいい武器を取り扱っているらしい。
というかこの短剣、欲しいなあ。
装備してるだけで隠蔽スキルが補正されるなら、接近戦が下手な僕でもサブ武器として持っておきたいところだ。
うーん、思い切って買っちゃおうかな。ああでも、それでナイフ代がなくなったら本末転倒だなぁ……。
「だからそう言ってるじゃねぇか。俺を何だと思ってたんだよ」
と、僕が一人葛藤していると、彼は心外だといった様子でジト目を向けてきた。
どの口がそれを言いますか。
「何って……変態」
「おい」
「痴漢」
「おい……」
「セクハラおやじ」
「………」
「おにーさんヘンタイなの?」
「……そろそろ泣くぞ?」
シェイリの一言が止めになったらしく(彼女の無垢な瞳がダメージを倍増させた模様)、男は目に見えて落ち込んだ様子をみせた。
指で地面に“の”の字を書きながら、『なにもそこまで言わなくても……』『セクハラおやじって……おやじって……』などと呟いている。
いや、完全に自業自得なんだけど、僕は別に間違ったことは一つも言っていないんだけど、そこまで落ち込まれると何だか悪いことをしたような気になってくるじゃないか……。
というかこの人、自分は人に散々言う割に、相手に言われるのはかなり落ち込むらしい。
意外とナイーブな人なんだろうか。見かけによらず。
「おにーさん、元気だして。泣いちゃだめだよー?」
「う、うるせーよ!別に泣いてねぇし!撫でんな!オマエみたいなガキに慰められてもぜんぜん嬉しくねーよ!」
……ああ、そうか。そういうことか。
シェイリに頭を撫でられ、顔を真っ赤にしながら怒鳴る彼の姿を見て、僕は確信した。
この人、ヘタレだ。
────────────
「はーん、なるほどね。あの小娘の頼みで来たってわけか」
数分後。
なんとか落ち着きを取り戻したらしい彼は、再び元の不遜な態度に戻っていた。
といっても、中身がヘタレなのを知ってしまったため、いまいち格好がつかない気がしてならない。
「んで?オマエさん方は武器の製作を頼みたいと」
「そういうこと」
「だよー」
「はっ、わざわざご苦労なこって」
そう言って、鼻で笑う彼。
なるほど、確かに店番に向いているとはいえない人物だ。
いくら取り扱っている武器
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