第三幕その二
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うです。ですから貴方は誤解しておられうだけです」
「また嘘を」
「ダニロ」
ハンナは遂に仮面を投げ捨てた。そうしてハンナとしてダニロに言葉を向けてきた。
「私が嘘をついたことがあったかしら」
「ないね」
ダニロもまたダニロとなった。伯爵でも大使でもなくダニロとしてハンナに返す。
「そうよね。じゃあ」
「これはヴァイオリンの響きさ」
そう言葉を誤魔化して言ってきた。
「それがワルツのステップを誘う。私を愛して、とね」
「私を愛して。それなら」
ハンナはそれに応えて言う。
「握られた手ははっきりと告げる」
「その言葉は知っているよ」
ダニロはそれに応えてきた。
「それは本当だ、貴女は私を愛している」
「ワルツのステップを踏む度に心も共に踊り高まっていく」
ハンナは言葉を歌にして交あわせていく。
「私も貴女を愛していると。違うかしら」
「その通り、貴方は私を愛している」
また言った。
「そうよね」
「そうさ。ほら」
ダニロは自分のカードを出してきた。
「ストレートフラッシュ。僕の勝ちだね」
「いえ、私の勝ちよ」
しかしハンナは優雅に笑って彼に返す。
「ほら」
出してきたのはロイヤルストレートフラッシュであった。これで決まりであった。
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