第10話
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効果に気がついたのはそれからしばらく立ってからだ。遠くで聞こえていたはずの音が聞こえなくなっていき、組んでいる足の感覚が無くなり始めてからだ。異変に気付いて目を開ければ、すでに見えなくなっていた。おそらくは嗅覚と味覚も無くなっているか、無くなり始めているはずだ。くそ、レイナーレはトイレに行っていて今は居ない。今のオレの状況を伝える事が出来ない。まだ少しでも感覚が残っているうちに伝えなければ。そう思い、立ち上がろうとして転ぶ。たぶん転んだんだと思う。そう思ってしまう位に感覚が無くなっていた。床に手を着いているはずなのに、感触が全く感じない。身体は動いているはずなのに、動いている感覚がない。だから瞑想してろと言ったのかよ。とにかく、今はレイナーレにこの状況を伝えなくてはならない。その為には待つしかないな。再び、座り直して瞑想を再開する。
だけど、全然集中出来ない。オレは恐れているのか?震えが止まらない。何だよ、これ。5分も経っていないのに、さっきまで何とも無かったのに。感覚が無くなったことを理解するだけで、なんでこんなにも苦しいんだ。オレは今ちゃんと呼吸が出来ているのか?オレはちゃんと生きているのか?分からない、何も分からない。小宇宙が燃やせない。何もかもがオレから無くなっていく。
「あ、あああ、ああああああああああああああ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
薬を飲んで瞑想を始めたイッセーの傍から少しだけ離れていると、イッセーが急に大声で叫びだした。
「イッセー、どうしたの!?」
慌てて部屋に戻ると、イッセーが暴れていた。だけど、私を助けてくれた時の様な力強さは無く、まるで迷子になった子供が泣きわめいている様な弱さが伝わってくる。というか床で暴れ回っている。立てないのだろうか?
「イッセー、イッセー!?」
ただ事ではないと感じて抱きしめる様に拘束する。私の腕の中でイッセーが暴れ続ける。こうなったのはおそらくあの薬が原因だろう。なら、解毒剤を飲ませれば。
「イッセー、少しだけがまっきゃぁ!!」
薬を飲まそうとした所でイッセーの手がぶつかり、解毒剤の入った瓶が割れる。
「しまった!!」
中に入っていた液体は全て流れ出てしまい、回収する事も不可能になった。
「くっ、イッセー!!しっかりして!!イッセー!!」
懸命に呼びかけてもイッセーは反応してくれない。
「どうしたのレイナーレ!!」
異変に気付いたグレモリーと姫島が部屋に現れる。
「急にイッセーが暴れだして、解毒剤も割れて零れてしまったの」
「ひとまず気を失わせるわ。朱乃」
「はい」
姫島がイッセーの首筋に軽く電撃を流して意識を奪う。これでとりあえずはイッ
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