第二十章
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「…紺野君が嫌い、というのは本心だよ。…憎くて仕方がなかった。自由気ままで、気分屋で、隙だらけで…いくら痛い目に遭わせても、平気な顔で這い上がってくる。…あの男はね、才能と清廉さに裏打ちされた自信に、満ちていた」
伊佐木は低く笑った。
「…後ろ暗さを持たないから、人の弱みを利用する私を、恐れない」
「………」
「そんな男だから、自分を陥れた烏崎のために、私に怒りを向ける。…そのくせ、私が死んだことを知ればきっと、あの男は悲しむのだろう」
最期の息を吐くように、朗々とした声を張り上げる。
「だから私は、あの男が、嫌いだよ」
何事にも動じることがない…いや、動じまいとする。
だからこそ、自らの感情の在り処さえ見失った。
そんな生き方しか出来なかった男は、
――壁の向こうで、静かに息絶えた。
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