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くらいくらい電子の森に・・・
第二十章
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んだな。そう思うと、とても場違いな感情がわきあがってきた。テーマパークで迷子になった妹を見つけた瞬間みたいに、ほっとしたのに、ちょっと腹が立つかんじ。…どこに行ってたんだよ、馬鹿。

でもビアンキはずっと迷子のまま、僕を捜して今も泣いている。もう僕に会えないと思い込んだまま、電子の海で泣きじゃくりながら――人を殺している。
声が欲しい。ビアンキに伝わる、声が。
たった一言「僕はここにいる」って、ビアンキに伝える声が――。
「――ちょっと、あれ見て!!」
柚木の声が、僕を現実に引き戻した。柚木は『レントゲン室』というプレートが張られたドアの前にいる。僕が駆け寄る前に、柚木と紺野さんは何の躊躇もなくレントゲン室に飛び込んだ。
「…何で!?」
訳が分からない。僕らの場所や目的地はビアンキにバレてるんだろう?レントゲン室に異常があったとしたら、それは全部罠に違いないのに、どうして…!?
――レントゲン室の前に立った瞬間、全てを了解した。

ずらりと並んだ個室の一つに、流迦ちゃんが変わり果てた姿で転がっていた。

流迦ちゃんの身体は診察台に横たえられていた。口元から鮮血の糸が垂れ、うつろな瞳は何も映していない。腹部は何か、巨大な獣に食いちぎられたようにえぐられていた。
「流迦ちゃん!!」
紺野さんが我を忘れたように叫び、柚木と一緒に個室に飛び込んだ直後、個室のドアが自動的に閉じられた。僕は流迦ちゃんに近寄ることも叶わないまま、1人で取り残された。
…これは罠だ。そんなことは僕たち全員が分かっていた。でも何で?流迦ちゃんはどうやって僕たちに先回りしてここに辿り着いたんだ!?
その疑問は、紺野さんの舌打ちで氷解した。
「くそ、プロジェクターの投射映像か…!」
やがて、ドアを何度も蹴りつける音が聞こえてきた。…しばらく呆然とした後、背筋に氷を流し込まれたような寒気が襲い掛かってきた。

頼みの綱だった紺野さんが封じられた……

システムの知識がない僕1人で、全システムを乗っ取ったビアンキを相手に…!?
――無謀だ。呆然と立ち尽くしている僕の視界の片隅で、パソコンの画像がせわしなく切り替わっているのが見えた。…レントゲン室の脇に置かれたパソコンが、何か黒い画像を受信している。どういうわけかひどく気になって、恐る恐るディスプレイを覗き込んだ。中央にぼんやりと、白い丸のようなものが2つ映り込んでいるのが分かる。…これは…
それが何なのか察した瞬間、僕はレントゲン室のドアを狂ったように叩いていた。

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「なっ何!?」
柚木の声に混じって、カシャカシャカシャと連続でシャッターを切るような音が聞こえる。…その音は、死神が鎌を振るう音にも感じられた…
「そこを出ろ!…レントゲンを連続して撮られてる、被
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