第176話
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、もう一つの宗教という名の科学サイドの徹底的な破壊を、望んでいます。」
腹を撃たれた痛みに耐えながら、弱々しい口調で語る。
科学サイド。
他の統括理事会はどうだが知らないが、親船は魔術の存在を知らないようだ。
「戦争の激化など・・・・そんな馬鹿げた事は、止めなければ、なりません。」
浅い呼吸で息をする親船の言葉には誰かを守ると言う意思を感じた。
この学園都市に住む学生、そして彼女の家族。
戦争が激化すれば巻き込まれるのは必然だ。
たった一人で、彼女は立ち上がったのだ。
『制裁』に恐れる事無く、大事な者を守る為に。
「しゃべるな。」
土御門は冷たく言い放つが、どこか優しさが籠っているようにも聞こえた。
「彼は、嫌だと言いました。
これは私自身が、無理を言って頼んだ事です。
だから、彼を責めないで。」
「もうしゃべるな。」
再度冷たく言い放つ。
麻生は携帯を取り出し、救急車に連絡を入れ、土御門は意識を失いかけている親船に言う。
「後はこっちでやる。
俺から言える事は一つだけ。
安心しろ、お前はそれだけを覚えていればいい。」
「俺からも一言。」
携帯を閉じて、ポケットに入れた麻生はしゃがんで親船の眼を見て告げる。
「戦争の激化なんて俺達がさせない。
俺にも守る者があるからな。」
短く告げた言葉を聞いて、親船は笑顔を深くして瞼を閉じた。
「今すぐ動けるか、カミやん。」
「分かっているよ。」
歯を食いしばり地面に倒れている馬鹿な女を睨みながら。
「俺を動かすために、それだけのために、わざわざこんな大それたお膳立てをしたんだろ、ふざけやがって。
回りくどいにもほどがあるだろ、こんなの。」
「これからどうする?」
「第二三学区へ向かうぞ。
航空機の用意がある。
今夜限り、親船最中の力を使って準備させたものだ。
そいつを無駄にさせるつもりはない。」
「俺は少し寄る所がある。
何、遅刻はしない。」
一瞬、眉をひそめる土御門だが言い合っている時間はない。
小さく頷いてから、上条と土御門は児童公園の外へ出て、第二三学区に向かう。
麻生は能力を使って高速移動し、愛穂のマンションへ向かう。
エレベータに乗る事なく、一気に一三階まで上昇する。
リビングには誰もいなかったが、居ても困るだけなので窓ガラスの鍵を能力で開場して中に入る。
手に持った買い物袋をテーブルの上に置き、メモ帳に伝言を書き、再び窓から外へ飛び出した。
その数秒後に、玄関の扉が開かれ愛穂と制理と桔梗が帰ってきた。
リビングのテーブルの上には食材などが詰められている買い物袋に、一枚のメモ。
愛穂はそれを手に取って内容に目を通す。
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