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とある星の力を使いし者
第176話
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うな口調で麻生は吐き捨てる。

「これは裏で続く科学と魔術の抗争だぜい。
 さらにデモを起こすだけが目的じゃない。
 ローマ正教はデモをきっかけに、学園都市側の経済を崩すつもりでいる。
 ローマ正教徒二〇億人いると言われているが、キョウやんは本当に二〇億人いると思うかにゃ?」

「そんなの嘘に決まっている。」

もし本当に二〇億人ものローマ正教徒が居れば、学園都市は勝てる筈がない。
圧倒的な物量の差、経済、どれをとってもたった二三〇万人しかいない学園都市では歯が立たない。
なのに、ローマ正教はその人脈を使わず魔道書なんて回りくどいやり方をしてきた。
これが意味するのは、魔導書という強力な道具を頼らざるを得ないくらいローマ正教も追い詰められている事になる。

「ローマ正教の十字架を身につけたり、聖書を携え、日曜日に教会に出かける人を集めれば二〇億人はいくかもしれないが、実際に魔術を使ったり本当にローマ正教の利益の為に動くのはその半分にも満たない。
 下手をすれば聖書を携える中で、科学側の人間もいる可能性だってある。」

「むしろ、そっちの方が多いぜい。
 実際問題、二〇億人集まればかなり強力になるが、自分達の為に人を殺せなど言ってもそれに賛同する人も少ない。
 だからこそ、魔導書を使って人の心を誘導して、出来る限りローマ正教側に引き込みたいのさ。」

「兵器を生産、維持、活用には莫大な金が要る。
 もし二〇億人もの人を確保されれば、戦わずして学園都市は白旗を上げざるを得ない状況に追い込まれる。」

「そうなればバランスは崩壊。
 戦争を起こそうと集めていた資金は自分達の懐に入り、煩わしい科学は衰退の一途を辿る。
 科学という明確なモノが無くなれば、人は宗教に目をつける。
 そうなると後は流れに身を任せるだけで問題ない。
 統括理事会はそれを危惧している。
 手をこまねいていればそれだけ相手は力をつけ、表立って行動を示せば戦争の引き金になる。」

「だからこそ、俺やお前のような人材を派遣して事態を収拾する、か。」

大よその経緯と流れを理解した麻生は一息吐く。
これまで数多くの事件の解決に助力した麻生は、統括理事会から見れば都合の良い便利屋に見えたのだろう。
利用されているのが見え見えだったが、こちらも今回の一件には用があったのでそれに乗る事にする。
何より。
このデモが続けば学園都市の生活に影響を与える。
最終的には愛穂や桔梗や制理にも影響を及ぼす。
そうなる前に片をつけるつもりだったので、どちらかというと好都合だ。

「いいぜ、乗った。」

「そう言ってくれると助かるぜい。
 これから近くの公園でもう一人人材を確保して、それから空港に向かう。」

「もう一人って。」

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