アインクラッド編
踏み出す一歩
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
濃密な青色の光が輝く。
片手剣や細剣使い――――キリトやアスカには使えない。
サチだからこそできる技。今この状況で唯一届かせることの出来る技。
槍専用の遠距離攻撃。
「とど・・・・・・けえぇーーーーっっ!!!」
〈投槍スキル〉、〈スパイラル・シュート〉。
渾身の力で投擲された槍は、狙い違わずボスの甲羅へと直撃した。
硬質の物体が凄まじい勢いで衝突したことにより、かああん! と甲高い音がボス部屋に響いた。
槍は貫通にこそ至らなかったものの、遂にボスの回転を止めた。
アスカを弾き飛ばす寸前で止まるボス。
そこに、
「みんな、お願い!!」
「「「「くらえ・・・・・っっ!!」」」」
追いついたケイタ、ダッカー、ササマル、テツオの攻撃が吸い込まれる。
無防備な頭部に次々とソードスキルが叩き込まれている。
〈投槍スキル〉は〈投剣スキル〉と〈槍スキル〉の両方を上げているプレイヤーが使える派生スキルで、飛ばす事による圧倒的なリーチ、威力の割に技後硬直はかなり短い。
それはこの技に、所持している武器が無くなる、という超デメリットが存在するからだ。
槍はボスの回転に大きく弾かれている。
ボスを相手取りながら取りに戻っている余裕はない。
しかし、手はある。
サチはまだ、戦える。
動けるようになってすぐさま、右手を振ってウインドウを開いた。
そして、ショートカットをタッチ。
あらゆる武器共通のスキルMod。〈クイックチェンジ〉。
『ああ、そうだ。サチ、これあげる』
『え・・・・ええ!? これ・・・・くれるの?』
『うん。明日のボス戦で使えなくてもさ、練習用に1本くらい持っておいた方が便利だろ?』
『い、いいよ。これ、かなりのレア武器みたいだし、タダでもらえないよ』
『遠慮しなくていいから。最近これより良い武器ドロップしたし』
『でも・・・・』
『でも、じゃない。もしかしたら、明日のボス戦で使うことになるかも知れないし』
『・・・・それは、ないと思うけど・・・・まあ、一応貰っておくよ。ありがと』
『お礼は豪華な夕飯で』
『言われなくても、今日は豪勢だよ。明日に備えてってダッカーが一杯食材買ってきちゃったから』
『おお! それはいいこと聞いた! じゃあ、さっさと夕飯にしよう!』
『あっ! 待ってよ、キリト!』
思い出したのは、昨晩のやり取り。
キリトにはああ言ったが、念のためショートカットに登録しておいてよかった。
これのおかげで、まだ戦える。
ずしり、と重い感触が右手に伝わる。
槍使いとして自分はかなり筋力値を上げているのに、やっぱりキリトは重い剣が好きだよね、とこんな時ながら暢気な感想が出てくる。
それは鈍色に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ