第二幕その五
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っていた。しかしもう一人についてはわかってはいないままであった。本当に彼が言う通り間抜けなことに。
「何がですか?」
「だからその人妻の夫がだよ」
自分のことを何も気付かないまま秘書に対して言う。
「ここはパリだよ。フランス男がしたなめずりしている場所に自分の妻がいるのに警戒一つもしないなんて。狼に餌をやるようなものさ」
「狼ですか」
「フランス男は美女と美食と美酒に関しては狼さ」
実に欲張りな狼である、
「だから危険なんだよ。わかるかね」
「はあ」
「しかしまあ。誰なのか」
その人妻に対して思う。
「顔を見てみたいな」
「あれ、男爵」
ここでハンナと踊り終えたダニロがふらりとやって来た。
「どうしてここに」
「おや、閣下」
男爵も彼に顔を向けて声をあげる。
「どうしてこちらに」
「いや、少し涼みにね」
そう彼に答える。
「来たのだけれど一体何をしているんだい?」
「まああまり趣味のいいものじゃありません」
自分でもそれは自覚していた。
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