暁 〜小説投稿サイト〜
形而下の神々
過去と異世界
スティグマ
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会いに行ってしまった。

「何だかなぁ……」

 身の回りに普通に存在する常識。
 風は流れ、海は波打ち、日は昇り、それらは生命を育む。
 そうして緑が産まれ、動物はそれを食し、生命は広がる。

 これら全てに理由と理屈が存在し、また、これら全てが理屈の上で矛盾を孕む。
 その矛盾から生まれたのが奴らなのか。

「じゃあ矛盾が無いということを証明したら、コイツ等は消えてしまうのかな?」

 もうすぐ争いが起きるという村へ向かう最中はそんな事を考えていた。

 まだ俺は一滴たりとも血を流していない。グランシェも同じだ。

 生死を賭けた闘争もなければ、死線をくぐった訳でも無く。
 更には戦う術も俺にはない。

 グランシェも、公式やら神器やらの前では流石に無力だろう。


「学ばねば……」

 この世について、もっと知らなきゃならない。

「神様とやらよ……ここは何なんだよ、一体」

 俺達が出現したという例の神殿に向かって呟いた。
 と、その時神妙な空気をぶち壊す元気な声が耳に入った。


「おいタイチ!!もうすぐ着くってさ!!」

 相変わらず元気なグランシェだ。奴は一体、この状況をどう考えてるんだろう。
 そう思って見ると、ヤツはこちらに手を振っていた。

 ……どう見ても楽しんでるっぽいけどな。



 そして進行方向を見ると、煙がもくもくと上がっていた。争いの香りだ。もういやだ。

「マズイ事になりそうだな」

 隣で静かにサンソンが呟いた。

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