幼年期編
第5章
帰省しよう〜Part.1〜
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りがとなみこと」
バランスを崩しそうになった当麻を美琴が支えることで、当麻は転倒を免れていた。
外を歩くときは手を繋ぐ、これは当麻と美琴の中で自然にできた約束事だった。別に2人が手を繋ぎたいから繋いでいるわけではない(半分くらいはその理由もあるが)、要は当麻の不幸が起きた後に対処しやすくするのが目的だ。当麻にとって不幸だと感じる機会が少なくなるし、美琴と手をつなげる、美琴にとっては当麻と誰の目をはばかることなく手をつなげるまさにWIN-WINの関係というやつだ。
当麻が躓いたのに気が付いた詩菜が駆け寄ろうとしたのだが2人の様子を見てゆっくりと近づいていく。その表情は心なしか安心しているようにも見えた。
「当麻さん、美琴さん“おかえりなさい”」
「ただいま、母さん」
「ただいまです、詩菜さん」
2人の“ただいま”を聞いた詩菜は優しく2人を抱きしめて笑みを浮かべる。ついでに美琴のほうを向いて爆弾を投下するのも忘れなかった。
「美琴ちゃん、私のことは“お義母さん”てよんでくれてもいいのよ」
「い、いやそれはまだ早いというかなんというか当麻とは“まだ”そんな関係ではないわけでして確かに“呼びたい”ですけど心の準備とかいろいろできてないですから呼ぶのはためらわれるといいますか――
「私がお義母さんじゃいやかしら…」
――…嫌じゃないです。むしろ嬉しい…です」
詩菜が投下した爆弾に対して必死に処理をする美琴に詩菜は爆弾をさらに投下する。さびしそうな声で詩菜にそんなことを言われたら美琴が(嫌だと思ってもいないのに)Noと言えるわけもなくあっさり陥落した。
ちなみに当麻が隣で真っ赤になって話を聞いていたのだが美琴がそれに気が付くことは残念ながらなかった。
「じゃ、行きましょうか」
「りょうかい、母さん」
「はい、しい「美琴さん?」…お義母さん」
詩菜はとりあえず駅を出ようと思い、当麻と美琴を促して歩き出すことにする。右手は当麻、左手は美琴の手を取って。
(周りから見たらどういうふうに見えてるのかしらね〜。親子って思ってもらえてると嬉しいのだけど)
当麻がかわいい息子であるのは当然として、詩菜は少なくとも美琴を娘のように思っている。なので周りからもそう見られていると嬉しいな、と思いながら心の中でそうこぼした。
美琴のほうも詩菜からそんな風に話をふられて困惑しつつも嬉しそうにしてくれていたので(当麻は)脈なしではない…というかいまのところ本命直球ど真ん中といった感じだろうなと詩菜は推測する。
(まぁ結局のところ最後は当麻さん頼みなんですけど、心配はいらなそうですね
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