第四話「RG−T(下)」
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研究室に居ては危険だと感じた俺は自室の隣にある隠れ部屋に移動した。ここの存在を知っている者はまだ誰も居ないはず。
元が研究作品の保管場所であるこの部屋は物置部屋ほどの広さしかない。しかし身を隠すにはこれで十分だ。
「居たわ!」
タナトスから逃れるためRG‐Tを走らせていると、進路上にニンフが立ち塞がった。
「タナトスめ、さてはエンジェロイドたちを味方につけたな……」
七色に光る透明な翼を広げたニンフが拳を構える。じりじりと両者の間合いを読み合いながら互いの出方を窺う。
「タナトス姉さんのお願いだから悪く思わないでね。観念してお縄につきなさい!」
「どこで覚えたんだその言葉は……だが断る!」
先に仕掛けたのはRG‐Tからだった。
キュピーンと漢字の皿のような目を輝かせると、その双眸から二条の光線を放つ。
「うわっ! ちょっとなに……このロボット、ビームなんか出すの!?」
「出すのだよ!」
間一髪で半身になって回避したニンフを追撃。突き出した両腕を飛ばし、体勢を崩した彼女の顔面に向けてロケットパンチ!
――ひゅるるるる……ぽと。
彼我の距離は五メートル。ロケットのように噴射された両腕は重力に従い徐々に軌道を下げて行き、やがてニンフの足元に力なく落ちた。
「くっ、そういえば威力設定をしてなかった!」
元々ロケットパンチは遊び心のつもりで取り入れたもののため、バカみたいな威力は設定していない。ちなみにビームは良いのだ。だってロボといったらビームだもの。
「ふふん、どうやらビーム攻撃以外に有効な攻撃手段はないようね。そんなしょぼい装備で私に勝とうなんて十年早いわ。食らいなさい!」
大きく開いた口から無形の音波が衝撃波となって襲い掛かる。ニンフの固有能力の一つである『超々超音波振動子(パラダイス・ソング)』だ。
「なんの! 障壁プログラム起動!」
タナトスを退けたシールドを再び張り、衝撃から身を守る。
このシールドはイカロスのイージスを元に作成した障壁であり、耐久は本家のそれとは雲泥の差である。惑星を一撃で破壊するタナトスの『メギド』でさえ、この障壁の前では無力だ。
「このままニンフの相手をしている暇はないし……ここは逃げの一手でいくか」
RG‐Tの瞳孔が急激に輝き目から閃光を放つ。目晦ましのフラッシュだ。
「なっ――!?」
「今だ!」
「あっ、待ちなさいっ!」
怯んだその隙に障壁を解除。ニンフの脇を猛スピードで駆け抜けた。静止の声が掛かるが止まるはずがない。
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