第四話「RG−T(下)」
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ため対電子戦プログラムは搭載していない。イカロスやアストレアなどは余裕で対処できるが、ニンフはRG‐Tにとってはまさに天敵だ。こんな単純な考えでさえ浮かばないとは、迂闊だった……!
「しかし、ハッキングをしてどうするつもりだ?」
障壁も満足に張れないロボなどタナトスたちにとっては取るに足らない相手のはず。今更ハッキングでシステムに干渉などしなくても、そのまま物理的に破壊すればいいだけの話――。
「いや、まてよ? さっき、タナトスはなんて言ってた……?」
〈そちらから出てこないのなら、こちらから迎えに行って差し上げます〉
「マスター登録情報から俺の場所を逆探知しているのか……!」
急いでコンソールを切りRG‐Tとの接続回線を遮断する。ついでにダミー情報も流し込み俺の居場所を特定できないようにした。上手くいけば複数の場所から俺の反応が上がるはずだ。
回旋を切ってしまったから、もうRG‐Tを救う手立てはなくなった。恐らくロボは無残な屍を晒すことになるだろう。
昔年の夢の大集であるロボを失うのは俺としても非常に遺憾だが、命は惜しい。今回の一件を教訓として、次回は対電子戦プログラムをインプットしたRG‐Uを作成しよう。
「その前に場所を変えないと。ここも安全とは言えなくなったからな」
「そうですね」
ここにいる筈のない人物の声に思わず凍りつく。思わず、ギギ……と音がしそうなくらいぎこちなく背後を振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべたタナトスさんの姿があった。
「え、ええっと……よく、ここが分かった、ね?」
「ええ。ニンフちゃんが頑張ってくれたものですから。まさかこんな場所があったなんて思いもしませんでした」
「そ、そう。それで……な、なんの用かな?」
ニコッと天使のような微笑みを浮かべるタナトス。見惚れてしまうような綺麗な笑みなのだが、俺にはそれが反って不気味に思えた。まるで死神が微笑んでいるような……。
「約束を果たしに来ました。言いましたよね? そちらから出てこないのなら、こちらから迎えに行って差し上げます、と」
「約束なんかしてな――」
残像を残す勢いで背後に回り込んだタナトスが俺の襟首を掴む。
「女性に手を上げるなんて紳士のなさることではありません。ましてや女性の顔を傷つけるなど……女性にとって顔と髪は乙女の命だと再三にわたって申し上げていましたのに。まだご理解いただけていない様子」
巧みに重心を操り俯せに転がす。抵抗空しく、気が付けば正座をしたタナトスの膝に横向きで伸し掛かるようにしていた。
「ですので、ちゃんと教育し
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