第四話「RG−T(下)」
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ロボの口から主の声が飛び出し戸惑っている様子。イカロスは他の子たちとは違って話せば分かる子だ。ここは平和的に話し合おうじゃないか。
『無益な争いは止めよう。互いにいがみ合っても誰も特はしないんだ。だからイカロス……大人しくそこを通しなさい』
「ですが、タナトスが……」
『大人しく通してくれたら、ご褒美に撫で撫でをしてあげよう!』
イカロスの動きが一瞬止まる。
「撫で撫で……」
うわ言のように繰り返すイカロス。音声周波数には後方からもの凄いで追ってくる団体様の反応があった。
『そうだ、イカロスの好きな撫で撫でだ! 好きなだけ撫でてあげるから早くそこを通しなさい! というか通してぇぇぇぇぇっ!』
「通してはいけませんよ、イカロス!」
タナトスがニンフやアストレア、ハーピー姉妹を引き連れてやって来た。
「さあ、追い詰めましたよご主人様。どこからか見ているのでしょう? 大人しく出てきなさい」
『い、イヤだ! だって出て行ったら最後、死んじゃうんだもん! 誰が好んで殺されに行くものですか!』
何故かタナトスは平気で主に手を出すことが出来る。エンジェロイドたちは例外なく空人に危害を加えられないようにプログラムされているにも拘らずだ。母は強しとでも言いたいのだろうか?
このままここに居ては危険だ。再びブーストを噴かそうとするが、それよりも早く、
「ニンフちゃん」
「ええ!」
回り込んだニンフがロボを捕獲する。
『ええいっ! これしきの事で――』
障壁を張ろうとして、そこでやっと画面に表示されたバーに気が付いた。
――稼働時間、残り四分。
しまった! 電池がもう無い!
通常稼働での連続駆動時間が最長二十四時間。もちろん、障壁やP‐ステルスシステム、ブーストなどを使えばそれに伴い限界値は近づいていく。
調子に乗ってバンバン使い過ぎたツケがここに来て回ったか! これでは自力で脱出することは不可能だ……!
「そちらから出てこないのなら、こちらから迎えに行って差し上げます。ニンフちゃん」
「まかせて!」
RG‐Tの頭を掴んだのか、カメラが掌で塞がれたと思ったら、スクリーンに一瞬ノイズが走った。
刹那、独りでにウィンドウが開き、文字の羅列が画面を埋め尽くした。
「ハッキングか……っ!」
ニンフお得意のハッキングおよびクラッキングだろう。慌てて指を走らせるが管理システムにまで侵入しているのかまったく操作を受け付けない。
電子戦など想定していない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ