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前略、空の上より
第四話「RG−T(下)」
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ゃ一溜りもないぞ!」


「待てぇ! ごはぁぁぁぁんんッ!」


(絶対、懐柔されたなアイツ……)


 大方、捕獲もしくは撃破したらご馳走を作ってくれるとでも言われたのだろう。タナトスの作る料理はどれも絶品だからなぁ。


「しかし、このまま屍を晒すわけにもいかないのだよ……!」


 追いつかれる前にスピードを全開にして逃走を図るRG‐T。しかし、相手は瞬間的な加速であればイカロスの速度――最高時速マッハ二十四――をも上回る力を有する。イカロスより遅い足を持つロボでは振り切れるはずがなかった。


 純白の翼を広げたアストレアがぐんぐんと迫る。このままでは我が待望の傑作がスクラップへと変わり果ててしまうのは自明の理だ。


「くっ、こうなっては致し方ない……ターボ・オンッ!」


 画面に「Turbo mode ON」という文字が表示されると、RG‐Tの踵から噴射口が顔を覗かせた。


 ――ゴウッ!


 噴射口から炎が灯ると同時にRG‐Tの速度が一気に跳ね上がる。あまりの速度にロボ自身の上体が後ろに流れていた。急激の加速に姿勢制御機構が追い付かないのだ。


 時速四万キロという驚異の速度は瞬く間に互いの距離を離していく。こんな速度で廊下を走れば壁や障害物などに激突するのが当たり前だが、RG‐Tの空間把握機構とレーシングゲームで鍛えた俺の操縦技術を合わせれば問題は無くなる。


「くぅぅ……っ! 逃がさないんだからぁ!」


「だが残念、逃げられる!」


 素早くコントローラを操作してRG‐Tを反転させると、一切速度を減じさせることなく逆走した。とあるライトノベルを参考にして実用化させた無反動旋回だ。


「えっ……えええええええっ!? ちょっ、まっ――きゃん!」


 股の間を通り過ぎて遥か後方へと遠ざかって行くロボ。呆気にとられていたアストレアは正面に迫っていた壁にそのまま衝突し、目を回した。




 ――おバカエンジェロイド、アストレアを撃墜! 一五八の経験値を獲得!




「ふむ……お遊びのつもりで取り入れた成長プログラムも正常稼働、っと」


 このRG‐Tには敵を倒すとそれに応じて経験値を獲得し成長する機能がついているのだ。RPG系のゲームでお馴染みのプログラムをつい魔が差して入れてしまったんだよね。そのおかげで容量をめっちゃ食っちゃった。てへっ!


 ちなみに、誰が敵かは状況に応じて人工知能を搭載しているロボ自身が判断している。まあ元凶が俺とはいえ、エンジェロイドに追い回されているのだからアストレアたちを敵と認識するのも致し方ないことだろう。それにしても、おバカエンジェロイドか……的を得ているな。


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