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魔法少女リリカルなのは〜その者の行く末は…………〜
Chapter-1 First story~Various encounter~
number-5 remembrance
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「どうして家にいようとしないんだ? まだ外は寒いのに」
「…………家にいたら私はいい子にならなきゃならないの。お父さんのことでいっぱいいっぱいなお母さんに迷惑をかけたくないから」


4月の半ば。
燐夜が高町士郎によって拾われて数十日が経った。そして士郎が意識不明の重体になって3週間が経っている。
――――燐夜がなのはを除く高町兄妹に陰湿に扱われ、御神流をもってして燐夜を叩きのめすようになってから2週間が経った。


家にいればあの二人にぶちのめされることは分かり切っていることだ。自ら望んでそんなところにはいようとしない。……何時(いつ)、燐夜の中にある何かが暴走するか分からないのに。
そんなこともあり、近くにある公園にいつもこの時間はいるのだ。
変わらない景色。けれども、今日は違っていた。


なのはが公園のブランコに座って俯いているのだ。
ブランコに乗って遊ぶわけでもなく、何かをすることもなく、ただ単に座って俯いているだけなのだ。
燐夜が来た時にはすでにこうしていた。


当然、燐夜は何があったんだろうと疑問に思う。
いつものなのはは笑顔で3歳児らしく振る舞っている。だが、ここにいるなのははどうだ。
3歳児らしからぬ精神年齢で自分の両親に兄姉に迷惑をかけることの無い様に、良い子を演じていた。
家族は全員なのはが演じていた偽りの表情に騙されているのだ。


ただ、燐夜はそうは思わない。
一緒にいる時間が短いからか、それとも燐夜はなのはの心の内を知っていたのか。


確かになのはは最近、我が儘は言わなくなった。
何か欲しいものはあるかと兄である恭也に聞かれても、何もいらないと答えた。
父の看病を一手に担う、母である桃子の見送り、出迎えはいつも笑顔。
元気で笑顔な天真爛漫ななのはを見事に演じ切っていた。
しかし、そんな完璧な演技にもいずれは限界が来る。決して家族の前で見せようとしないなのはの本当の顔。


正直言って、気になった燐夜は聞いてみたのだ。
すると、いい子でいなきゃならないと言ったのだ。
そう言った時の彼女は儚げで触ると今にも砕けそうな感じだった。だからこそ燐夜はこう言ってやった。


「もうそれでいいんじゃねぇの」
「ふぇ?」


何かを話しかけてもずっと俯いていたなのはが初めて燐夜の方を向いた。燐夜もなのはの目を逸らすことなく合わせ続ける。思えばこれが初めてなのはとよく話した時かもしれない。
燐夜はさらに続ける。


「もうさ、それでずっと通してそのままいい子でいればいいじゃん。それでさずっとそれでいいんだって思われて、次第にほっとかれていくのさ」
「……どうしてそんなこと言うの?」
「……俺も親とそんな関係だったんだ」


なのはが
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