第一幕その一
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うでしょうか」
「はい。ほら」
そのフランス人ロジョンと右手の部屋で楽しく話す妻ヴァランシェンヌ男爵夫人を指差して言う。彼女は元々パリの踊り娘であり赤い髪と緑の目、はっきりした顔立ちの美女である。かつてはパリで名うての踊り娘であった。実は結構浮名も流してきている。
「つつましやかに話しているではありませんか」
「そうでしょうか」
「さて」
四国の代表達はそれを聞いて首を傾げさせていた。
「あまりそうは見えませんが」
「閣下、やはりこれは」
「あいや、それは邪推というものですぞ」
四人の言葉を笑顔で否定する。
「御覧になられればわかります、それは」
「まあそう仰るのなら」
「我々はこれで」
四人は引き下がる。男爵も笑顔で宴に戻る。しかし夫の目が離れると男爵夫人は早速昔の手馴れた手つきをフランス外務省きっての女殺しカミーユ=ロジョンに見せていた。ブラウンの髪と目でやけに嫌味ったらしく着飾って涼しげで傲慢そうな笑みの二枚目だ。如何にもフランスのエリートといった感じである。嫌いな人間はあくまで嫌い抜きそうな、そうした独特な顔立ちの二枚目であった。
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