拠点フェイズ 1
劉備・関羽・張飛
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たしですー」
「きゃああっ、だめ、服引っ張んないでぇぇっ! 見えちゃう、見えちゃうからぁ!」
だれー! 今、もうちょいとか言った人っ!
「このー! みんな、おしおきしちゃうぞー!」
「わー、にげろー!」
「きゃっー!」
怒った振りしながら子供を追い立てる。
みんなキャーキャーいいながら外に出て行った。
「もう……騒がせてすいません。またきますね」
「ははは、気にしないで下せえ。いつでもどうぞ、劉備様!」
「はい、ありがとうございます!」
店主のおじさんが笑いながら見送ってくれる。
「りゅーびさまー! はやくー!」
「はーい、いまいくよぉ〜!」
「なにするのー?」
「おれ、おいかけっこー!」
「おままごとがいいー!」
「わたし、だっこー!」
「はいはーい、みんな順番ねー!」
私が外に出ると――
きれいな青空に笑い声が満ち溢れていた。
―― 盾二 side 北平 ――
「じゃあ、これで。お疲れ様です」
俺は書き終えた竹簡を侍女の人に渡し、部屋を出る。
今はもう昼時。
昨日……いや、今日の明け方まで桃香の手伝いをしていたから少し眠い。
「少し昼寝でもするか……? いや、夜寝にくくなるのもなあ」
思わずぼやきながら城の内庭に差し掛かったときだった。
「やっ、はっ、ふっ!」
?
誰かの掛け声と何かが風を切る音がする。
「はっ、やっ、たぁ!」
ちらっと中庭を覗くと、そこには鈴々が愛用の蛇矛を振り回して鍛錬していた。
「たぁっ、はっ、にゃあああああっ!」
振り上げ、振り下ろし、連続突き。
あれだけ大きな蛇矛を見事に操り、なおかつスピードも速い。
(たいしたもんだ……本当に)
本来、鈴々の背丈なら、あれだけの長さの矛の遠心力には耐え切れないはずだ。
だが、鈴々は足を踏ん張り、大地に吸い付いたように腰を落とし、その遠心力を自身の膂力だけで支えている。
(おそらく無意識に氣で強化でもしているんだろうな……でもなければ説明がつかない)
かつて先輩である御神苗優の師匠である朧。彼の稽古を受けたときに氣というものを知った。
氣は、オリハルコンの精神エネルギーの源であり、だれにでもある力。
それは鍛錬で発露する場合や、無意識でそれを使う人間もいると言っていた。特に、昔の英雄はそうだったと。
となればその英雄である張飛や関羽なれば、無意識に使っていて当然なのかもしれない。
(愛紗のあの細腕で青龍偃月刀を振るう膂力からも頷ける……本当に俺は過去にいるんだな)
俺はかつていた世界に思いを馳せる。
不思議だった。何より不思議
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