拠点フェイズ 1
劉備・関羽・張飛
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ぁ」
「ふぇ……」
男の子の声に、転んだ子――女の子の目に涙が浮かぶ。
「わわ、な、泣いちゃダメだよ」
私がしゃがみこんで、女の子を抱き起こした。
「ふぇっ……?」
「大丈夫? けがしていない? 痛いところないかな?」
私が女の子を立たせて、身体に怪我がないか調べる。
幸いちょっと手を擦った程度みたい。
「(ぐしぐし)うん、お姉ちゃん。ありがとう」
「気をつけてね? もし痛い所あったら、ちゃんとお母さんに言うんだよ?」
「うん、わかった!」
女の子が元気に頷く。
うん、よかった。
「なーなーお姉ちゃん、だあれ?」
「知らないお姉ちゃんだー」
追いかけっこしていた子供達が、みんな私の傍に集まってくる。
「私はね、劉備っていうの。ここのお城でお仕事してるんだよ」
「おしごとー?」
「おしごとってなあに?」
「ばっかだなぁ。とーちゃんたちがしていることだよ」
「じゃあ、お姉ちゃんもおとーさんといっしょ?」
子供たちが矢継ぎ早に質問してくる。
「ふふっ。君たちのお父さんがどんなお仕事しているかは知らないけどね。私はここの領主さんのお友達なの。それでお仕事を手伝っているんだよ」
「りょうしゅさまー?」
「あ、おれ、しってる! たしか”こーそんさんしょーぐん”っていうんだよ! とーちゃんがいってた!」
「あ、わたしもしってるー! ”はくばちゃーしゅー”とかいうんでしょ?」
あはは……白馬長史ね。
はにゃ? なんか裾が引っ張られている。
ふと見ると、私の後ろで裾を引っ張りながらもじもじとしている女の子がいた。
「ん? なに?」
「ぉ……っこ」
「え?」
「ぉしっこ……」
「えええ!?」
わ、た、大変!
「か、厠、厠は……」
「でそぅ……」
「きゃー!?」
私はすぐ傍の菜館に振り返った。
ちょうど、店の外でお店の人が通りに水をまいている。
「そ、そこの人!」
「はい!?」
「裏の厠、貸してください!」
「は? は、はい……」
私は店の人の返事もそこそこに女の子を抱えあげ、店に飛び込んだ。
「もうちょっとだから、がまんしてー!」
……結果的にぎりぎりだった。
すっきりしてニコニコしている女の子と対称に、ぐったりとして厠から出てくる私。
店の人は苦笑している。
「あ、すいませんでした……厠お借りしちゃって」
「いやいや……その子は近所の子ですし、お役人様が気になさることじゃありませんよ」
店主らしきおじさんが、手を振りつつ笑いかける。
「いえ、私はお役人なんてもんじゃないですよ。ただ、城に住んでいて見回りしてるだけですし」
「城にいて、見
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