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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十一話 皇位簒奪 雷速剣舞
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ば精神が磨耗するのは当然の事だ。

「諦める気なんて、一切ありません。あなたはここで私が斃します」

一切の容赦も手加減もしていない。それでもなお螢の不屈の闘志は消えてなどいなかった。苛立ちが募る。何故こうも手間取るのかと。予想では創造を使ってからは僅かな時間に決着を付け、向こう岸で戦っているザミエルやヴァルキュリアと戦っているはずだった。
もとよりヴァルキュリアを呼び覚ましたのはそのため。相対する敵が存在するからこそザミエルに対する時間も稼げるし、剣を磨ぐこともできる。にもかかわらずこれほどまでに梃子摺っていた。
地力の差など比べるべくも無く、創造を複数使っている現状で耐えれるはずが無いのだ。

「ハアアァァァァ!!」

櫻井螢が剣を構えなおし、俺に向かって剣を振り払う。だが、俺はそれを受け止める形で剣を置き、また攻勢に出るために影の刃を四本並べ切り刻もうとする。

「つ、クアアァァァッ!」

いくら己の身を炎へと変質させていようとも、格が違えば効果は表れる。剣に触れたせいで腐蝕の進行に声を上げながらも、そのまま蹴りを入れようとする櫻井。だがその動きを防ぐように影の刃が脚を切り裂く。

「グゥッ―――」

これ以上踏み込めば串刺しにされると判断し、距離を取ろうとするが、同時に俺は追撃の弾丸を放つ。受け止めれば確実に腐蝕が進むであろうことを理解している彼女は剣を地面に突き立てて無理矢理移動する向きを変え回避した。

「この攻防も何度目だ。いい加減にしろよ。俺が未だに一撃も食らっていないのに対して、お前は腐敗が進んでいるというのに……せめて俺を傷つけてから俺を斃すなんて戯言を吐け」

手加減も容赦も油断もしていない。寧ろ創造を使っている以上、内側から他者の渇望に食い殺される俺はその類の慢心など出来るはずもない。故に、最短で決着を尽けねばならない。だから、

「今度こそ、お仕舞いだ。お前の剣はここで折れる。俺が俺の望む高みへと至るために贄となれ」

元来、神経質な性質であった彼は相手の聖遺物を奪うという能力も含めて事象展開型である。故に彼は学者肌といってもいい。その彼の性格故に彼の創造もそれに順ずるものとなっている。
そして、その能力の本質は同調。生前、他者とのコミュニケーションをうまく取れなかった彼はある種人肌に餓えており、そんな彼だからこそ聖遺物の能力すら奪い取れた。
だからこそ、彼は奪い、補い、組み合わせ、一人で世界を生きていける強さを欲している。孤高を目指す故に孤独を欲する。矛盾したそのあり方に疑問など持たないし、持つことも出来ない。それが彼に科せられた分体としての枷。

「悲しい人、自分のことすら理解できないのに他者を解しようなんて……」

「黙れ、黙れ……お前等みたいに群れなければ何も出
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