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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十一話 皇位簒奪 雷速剣舞
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レオノーレは劣勢に見える。しかし事実は逆であった。

「貴様の剣は腐るほど見てきた」

その剣筋を総て捕捉しているわけでも、雷速に至る速さを凌駕しているわけでもない。エレオノーレの言っている言葉から理解できることは唯の経験則によってベアトリスの攻撃を予測し、回避しているということだった。
距離を詰め続けるベアトリス。だがそれをエレオノーレとて唯じっとしているわけではない。

「その程度の速さ。ここ六十年毎日見てきたぞ。さあ、これはどうする?」

「シュマイザーッ!?」

放たれる銃撃に驚愕を顕にしながら距離を取って回避する。アスファルトの地面は捲れ上がり、銃口の先にあったメリーゴーランドは蜂の巣となって脆く崩れ去る。

「呆けている暇があるか?距離を詰めねば貴様に勝ち目は無いぞ」

十メートルほどの距離が開き、ベアトリスに向けられるのはパンツァーファウスト。それらを躱しきったベアトリスは事前に螢が戦っていたときに既に知っていたので驚愕はしない。頭を切り替え、距離を詰めんとする。
だが、エレオノーレは果たして砲撃に座して待つような指揮官か?断じて否。つまり、距離を詰めようとしたベアトリスに合わせて動き出し、蹴りを放った。まさにそれは虚を突くタイミング。十メートルの距離を詰めようとしたベアトリスは三メートルほどの誤差が現れ、剣を振り上げた中途半端な状態で無防備なまま側頭部を蹴り上げられた。

「つぁァッ―――!?」

「未熟だよ、貴様は」

吹き飛ばされアトラクションの一つにぶつかるベアトリス。未だに粉塵が立ち込めるその先にエレオノーレは再び銃口を構える。

「立ていッ!」

シュマイザーが届くと同時に剣戟が響きわたる。

「そうだ、それでいい。――――――来い!!」

戦乙女は不退転の決意を瞳に宿しながら駆ける。まだ語りたいことは山ほどあるんだという風に。

「私が犯した罪は (War es so schm?hlich,―― )」

自戒と自嘲と少しの自虐。冗談も多分に織り交ぜたこの詠唱(うた)を。

「心からの信頼において あなたの命に反したこと (ihm innig vertraut-trotzt’ ich deinem Gebot. )」

既知からか、きっと将来こんなことが起きるかもしれないと思ったから。

「私は愚かで あなたのお役に立てなかった (Wohl taugte dir nicht die t?r' ge Maid, )」

故に私はその時、眠りについた。それを目覚めさせた英雄は私のちっちゃな妹だったけど。その英雄に剣を捧げたいけど。
だけど―――私はあなた以外に仕える気なんてないんです。

「だからあなたの炎で包んでほしい (Auf dein Ge
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