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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十一話 皇位簒奪 雷速剣舞
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。また、彼が螢の魂を欲しているのはそれが原因でもあった。

「今の貴方程度なら、私でも斃せるわ」

自らの勝利を断言する螢。それを聞き、カリグラは憤怒の表情を浮かべながら呟く。

「そこまで言うなら使ってやるよ―――――俺の創造を」

創造―――そう言った途端に空気が変わる。カリグラにとってのそれは諸刃の剣である。奪うという聖遺物の能力上、カリグラの創造は奪い取った他者の聖遺物の能力を自分に合わせて発動する。故に、

「俺に詠唱はいらない。俺の創造はある意味では他者の創造でもあるのだから」

能力の質は当然下がる。自分に都合のいい形に変えてしまうが故に限定的にもなりやすい。何より他者の創造を使う為、反動が大きく痛みという対価を伴う。それでも複数の創造を同時展開できる彼の創造は十分脅威であるといえる。

「創造――― (Briah―― )
天帝の皇位簒奪 (Usurpation Gottes Kaiser)」

瞬間、影が、いや闇が広がり、同時に彼を中心として周りが腐り始めた。そしてカリグラは腕を振り下ろし弾丸が放たれる。
防ごうと剣を構える螢。だが直感が危険だと囁き、それに従ってギリギリで回避を選択する。そして、弾丸が地面や木にぶつかった様子を見て、その選択が正しかったことを螢は理解した。

「躱したか?そりゃ躱すよな。くらえば致命傷だろうからなァ!」

回避されるのは予想していたとばかりに接近し剣を振り上げるカリグラ。螢は咄嗟にで防御するが自らの身体に激痛が走る。

「ッツァ!?」

「ハハハハハ、どうした?俺を斃すんじゃないのかッ!」

これこそカリグラの能力の本質。渇望も創造も他者から奪い取るがゆえに複数の創造を使う。アルフレートの闇を、武蔵の後悔と懺悔を、鈴の人外への忌避を、そして戒の自己犠牲すらも彼の内で染まり放たれる。
故に全ての創造を扱える彼は同時に自らが精神を侵蝕され続ける恐怖に怯える。激痛に苛まれるのは彼が創造を使うたびに他者の渇望に支配されるからだ。高みへと至る過程にいつか自分が食い殺されるのじゃないかと怯えながら彼は戦う。

「櫻井螢、お前の渇望も俺の糧にしてやるよ!!」

故にその恐怖をかき消すために他者の渇望を求め続ける。それが何処までも狂った終わりのない歪な矛盾だとしても。



******



―――遊園地―――

雷光の一閃はエレオノーレの鼻先を掠めて空を切る。その後も続く連撃。彼女の剣戟はヴィルヘルムやシュライバーとはまた違った強さを持っている。それは弛まぬ練磨と積み上げた技巧、潜り抜けた闘争の経験。つまりは、人が人のままに辿り着いた極限だ。
しかし、それらの連撃は総て容易く躱された。一見してみれば果敢に攻め立てるベアトリスによってエ
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