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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十一話 皇位簒奪 雷速剣舞
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―――海浜公園―――

「ハアアァァァッ!」

燃え滾る炎を纏いながら剣を振り下ろす櫻井螢。だがカリグラはその連撃を容易く防でいた。

「所詮、櫻井の血統を持っていたところでこの程度ってわけか」

そこには明らかに落胆と侮蔑の表情を浮かべるカリグラ。悔しいと螢は思う。勝手に血統に期待して、勝手にそれを奪っていって勝手に失望しているカリグラに螢は憤慨する。

「ふざけるなッ!」

「ふざけてなどいないさ。勘違いするなよ。これは試合でも闘争でも、ましてや戦争でもないんだ。俺からお前に対する一方的な処刑なんだよ。お前に与えられた役割は俺をどのくらい楽しませるか位のものだ」

一方的な暴論。確かにカリグラの実力は平団員中で最強クラスを誇っていたトバルカインとアルフレートの聖遺物を奪ったことで三騎士と同等ともいえる程度のものとなっている。無論、実際に三騎士と戦えば、経験が足りないカリグラでは蹂躙されることになるだろうが。
それでも平団員内ですら上位に食い込めない螢でははっきり言って役不足。曲がりなりにも彼女がエレオノーレと戦えたのは、戦雷の聖剣(スルーズ・ワルキューレ)とエレオノーレ自身が手心を加えていたからに過ぎない。よって、

「勝ち目なんて端からお前にあるわけ無い」

カリグラはそう判断し、自らの勝利を疑わない。

「ツッアァァァ―――!」

剣を上から斬りつけようとした螢の剣尖はあっさりとカリグラに受け止められる。カリグラは未だに創造を発動していない。仮に発動していれば螢は自らの身体が腐り落ちる事となっていただろう。カリグラは剣を力任せに振るい、螢を吹き飛ばす。

「ガアァァッ!」

地力の差によって吹き飛ばされる螢。暴風に襲われる灯のように魂の総量の差、そのものは歴然としていた。そして、どのくらいの時を重ねただろう。薙ぎ払い、切り崩し、叩き付け、打ち下ろす。それらの剣戟は数え切れないほどに放たれ続けた。
だがおかしい、とカリグラは思う。櫻井螢の攻撃は今の所、まったく意味を為していない。このまま戦闘が続こうともその事実は変わらないはずだ。にもかかわらず、螢の目に諦めは無く、寧ろそれは戦闘が続くほど顕著なものとなっていく。それは圧倒的な魂の差を持つカリグラからしてみれば実に奇妙なことだ。

「何故そんな目をする。お前と俺との差は明らかだろう?にもかかわらずお前は何故、諦めを見せない?」

凪ぎ払う様に放たれた剣尖をずらすように受け止める櫻井。息も絶え絶えといった様子を見せるが、この攻防で彼女が確信したカリグラの評価を口にする。

「一つ、貴方と戦って気付いたからです。貴方は弱い―――ザミエル卿はもとより、藤井君やナウヨックス少佐と比べても貴方は弱い。
確かに、魂の総量でなら私を遥かに勝ってい
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