第九十一話 ヴィンドボナの日々
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シャルルの話題は終わり、二人はペリゴールらトリステイン訪問団と合流する為、大聖堂の廊下を進むと、一人の少女を取り囲むようにして少年達がアプローチ合戦を行っていた。
その姿は、いたいけな少女が男達に言い寄られている絵ではなく、小さな女王が取り巻きをを従えている様だった。
「ミス・ツェルプストー。今夜の晩餐会。是非、僕とダンスを踊って下さい」
「いやいや、僕と踊って下さい」
「どうしようかしらねぇ」
『ミス・ツェルプストー』と呼ばれた燃えるような赤い髪と瞳に褐色の肌をしたミドルティーンぐらいの歳の少女は思わせぶりに悩む振りをした。
「あら?」
「ん?」
小さな女王はマクシミリアンとカトレアの姿を見つけると。『失礼』と取り巻きに断わって
二人の所に近づいてきた。
「畏れながら、マクシミリアン『賢王』陛下で在らせられますか?
「確かに、マクシミリアンは僕だがキミは?」
「失礼いたしました。わたくし、『キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー』と申します。以後お見知りおきを」
二つ名を『微熱』と呼ばれる恋多き少女は、小さいながらも礼式に則って優雅に礼をした。
「なるほどツェルプストー辺境伯の。我がトリステインとは色々因縁があると聞いています」
「不幸な因縁ですわ」
マクシミリアンの聞いた話では、ツェルプストー辺境伯が何かとラ・ヴァリエール公爵家にちょっかいを掛けていて、互いの家の仲はすこぶる悪いらしい。
過去にツェルプストー家の人間がラ・ヴァリエール家の婚約者を横から掻っ攫ったりと、因縁と言っても恋愛関係に多い。
ラ・ヴァリエール公爵からトリステイン王家に嫁いだカトレアは、先ほどから黙ったまま黙して語らず、マクシミリアンとキュルケの語らいを見守っている。
「陛下。もし陛下のご都合が付きましたら、今夜の晩餐会。是非、わたくしと踊っていただけますでしょうか?」
「妻のカトレアの後でよろしければ」
と、カトレアへのフォローを忘れない。
一方の取り巻き達はキュルケの発言に、殺気に似た眼差しをマクシミリアンに送った。
「それでは陛下。失礼いたします」
ダンスの約束を取り付けたキュルケは、再び優雅に一礼すると取り巻きの中へ帰っていった。
「ツェルプストー辺境伯か……」
マクシミリアンは独り言を呟いた。
ツェルプストーの一人娘キュルケとお近づきになれば、ゆくゆくはゲルマニアの混乱に乗じて兆着出来るかもしれない。
ツェルプストー辺境伯の広大な領地には、地球でいうルール工業地帯が入っていて、トリステインに組み込めば多大な恩恵を受けることが出来るし、なにより将来的にゲルマニアも鳥syテインの真
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