第九十一話 ヴィンドボナの日々
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からだ。
突如行われる事になったトリステインとガリアの会談はシュテフォン大聖堂のとある廊下で行われる事になった。
二人の周辺には『サイレント』の魔法で防音に勤め、『ウォーター・ビット』を辺りに配置し護衛の代わりとした。
「オルレアン公。会談の内容とはどの様な物なのですか?」
「実は陛下。我がガリアと陛下のトリステインとの間に軍事条約を結びたいのです」
「軍事条約を……」
マクシミリアンは目を瞑るふりをして、『ウォーター・ビット』で周囲を警戒した。
幸い、二人の周辺の廊下には聞き耳を立てる所か、人っ子一人居ない。
「その様な重要な会談内容でしたら、廊下ではなくお互いに机をはさんで協議し合うべきですね」
「陛下のおっしゃる事はごもっともにございます。後日、改めてお話を持ってきますので、その時はよろしくお願いいたします」
「分かりました。会談の内容はそれだけですか?」
「いえもう一つ。これは個人的な事なのですが……」
「個人的の……話を聞きましょう」
「もし私に『もしも』の事がありましたら、どうかマクシミリアン陛下。我が妻子の事、よろしくお願いいたします」
「これは穏やかではありませんね。それは自分の人生を賭けてガリア王の玉座を狙うを判断してよろしいのですね?」
「……そ、それは」
「いえいえ返事は結構です。ただ僕としましても、オルレアン公の言う『もしも』の時、トリステインを危険に晒してまで、奥方とシャルロット姫殿下を助けるわけにも行きません。『考慮』に入れておくという事でよろしゅうございますね?」
「流石ですね、私の娘の名をご存知でしたか。今はそれだけで十分です。陛下に置かれましては、不躾な願いを聞き入れていただき感謝の言葉もございません」
「恐縮ですオルレアン公。もし宜しければ公女殿下の事をお聞かせ下さい」
その後、二人は公女シャルロットの話題で盛り上がり会談は終了した。
……
「ふうむ」
「どうされましたか、マクシミリアンさま」
会談後、シュテフォン大聖堂の廊下で顎をなでながら何やら考え事をしていると、マクシミリアンに代わって、アルブレヒト関係者に挨拶回りをしていたカトレアが何事かと聞いて来た。
「ああ、カトレア。挨拶回りお疲れ様。いやなに、さっきの会談で妙な事を頼まれてな」
「妙な事?」
「ああ、それと無くお茶を濁したけどね」
「オルレアン公は、どの様な事を仰ったのですか?」
「ん? 内容が内容だけに、誰が聞き耳を立てているとか分からない。ここでは話せないから後日詳しく話す。いいねカトレア?」
「その様な重大なことをオルレアン公が。分かりましたマクシミリアンさまに従います」
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