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領主は大変
第八章
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「本当に」
「リヒテンラーデ侯爵家といえば帝国宰相も出した名門ですね」
「今の当主の方も皇帝陛下の側近です」
「そしてその家の方をですね」
「はい、迎えたいと思います」
 そしてその為に動くというのだ。ただ迎えたいというだけで終わらないのが貴族の婚姻というものである。それでだった。
「是非共」
「ではそのこともですね」
「動きます。では姉上」
「はい」
「あちらでもお幸せに」
 こう姉に告げて送り出した。彼は弟達も妹達も婿、嫁にやり自らも何とかリヒテンラーデ侯爵家のその二番目の娘を妻に迎えた。そして程なくして息子をもうけた。
 だが今度はこの子育てがだった。
 彼はまたしても男爵と共にあれこれと話すことになった。今度の話題は。
「我が子カールだが」
「はい、家庭教師のことですね」
「誰がいいだろうか」
「博士でどうでしょうか」
 男爵は自身の友人でもあるこの魔術師のことを話に出した。
「あの御仁では」
「博学なのか」
「伊達に博士と名乗っている訳ではありません」
 そうだというのだ。
「軍事に政治、農業や法律、神学もです」
「知っているのか」
「無論魔術もですが」
「魔術はいいだろう」
 伯爵はそれはよいとした。
「だがだ」
「はい、家庭教師としてはですね」
「よさそうだな」
 こう言うのだった。
 そして決断を下し男爵に告げた。
「ではだ」
「はい、博士ですね」
「博士にカールへの家庭教師を頼もう」
「文はそれでいいですね」
「後は武だが」
 伯爵はこのことについては彼の名前を出した。
「ファーレンハイト卿でどうか」
「あの御仁ですか」
 伯爵に仕える騎士の一人だ。温厚篤実な性格でありしかもその馬術も剣術も領内随一である。その彼ならというのだ。
「どうだろうか」
「そうですね。あの御仁なら」
「カールに武を教えられるな」
「まさに適材かと」
「ではそうしよう」
 彼もまた家庭教師にするというのだ。
「これでカールの家庭教師も決まった」
「はい、ですが」
「わかっている。教会だな」
 内政の話になった。伯爵の顔は決断を下したはっきりとしたものから曇ったものになりこう男爵に言った。
「教会の普請か」
「かなり老巧化してきていますので」
「寄進をしてだな」
 具体的には金の話だった。
「それに人も出さねばばな」
「実際の普請もあります」
「農繁期までに終わらせよう」
 人手をそこに集めねばならないからだ。
「では多く出そう」
「そうするべきですね。では」
「教会のことも大事だよ」
 伯爵は信仰もだがそれ以上に政治のことを考えて述べた。
「あれはね」
「はい、教会はいい貌をしないと嫌がらせをしてきますし」
「それにだね」
「いい貌を
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