第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「それですが」
「そうだったね、農業だけじゃなくて」
「商業もあります」
「今この町は栄えているけれど」
伯爵が居城としているその町は人も多い。帝国辺境では重要な都市の一つであり交通の要衝でもあるのだ。
だがそれ故にだったのだ。
「けれどね」
「そうです。ワインやチーズをより多く売る為にもです」
「そして商業を栄えさせる為にも」
「町を拡大させてです」
「人も呼ぶんだね」
「まず誰でも店を開ける様にしましょう」
伯爵はここでこの政策を出した。
「そうすれば人はより多く集まります」
「あr、それはいいね」
「そしてです」
さらにだった。
「道も整え川に橋をかけましょう」
「それで往来もよくするんだね」
「はい」
その通りだというのだ。
「そうすれば商業は栄え」
「収益もあがるね」
「今よりも遥かに」
「そうだね。けれど町を整え道や橋についても」
「やはり予算がかかります」
「折角お金ができたのに」
「ここで使わなければです」
男爵は伯爵にあえて淡々として述べる。
「やはり」
「うん、本末転倒だね」
「では宜しいですね」
「うん、今度は商業だ」
「そして商業の次は牛馬を多く買いましょう」
「家畜をかい?」
「今は酪農に使っていますが農業や商業にも使いましょう」
実は今の時点でも牛馬をそうしたことに使っている、だが今よりも多く使おうというのが男爵の提案だった。
「牛は畑を耕すのにも運搬にも使えますし」
「そうだね。今よりももっとあればね」
「農民達も楽になります」
「そしてやはり収益もあがる」
「左様です」
「馬も多ければ」
馬の話も為される。
「やはり運搬にも使えるし」
「人も乗れます」
「じゃあ驢馬も買おうか」
「そして育てて増やしていきましょう」
「うん、それじゃあそれもね」
こうして商業にも金を使いそれで出来た金の使い道も決まった。商人とのやり取りもあり伯爵の仕事は増えたがそれでもだった。
商業はよくなりまた増えた家畜達が農業もさらによくさせた、当然商業もだ。
いいことばかりの筈だった。だが。
内政が軌道に乗って一安心だと思われたが今度は。
「何っ、異民族が来るのか」
「はい、あの騎馬民族がいよいよです」
「何時かは来ると思っていたけれど」
伯爵は財政破綻のそもそもの原因の彼等のことを忘れていなかった、だが遂にそれが来たと聞いてだった。
流石に危惧を感じた、それで男爵に即座に言った。
「よし、ここはね」
「どうされますか?」
「当然戦うよ」
選択肢はそれしかなかった。
「私自ら出陣するよ」
「では私もお供を致します」
「頼むよ。ただ境の方は」
「もう既に砦に兵達が詰めています」
「彼等には死守
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ