第八章
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「万能の霊長っていってもな」
「小さいわよね」
「この中じゃ消し粒みたいなものだよな」
「羊とか犬と一緒でね」
「ああ、本当にな」
「人間なんてそんなものよ。自然や神様の前だとね」
「小さいよな」
「そう、小さいのよ」
アマンダもまた緑の海の上に立って言う。
「所詮はね」
「そういうものだよな」
「ええ、だからこうして偶然、神様に動かされて出会ってね」
「それでなんだな」
「私達も今ここにいるのよ」
こう智和に話す。
「そういうことなのよ」
「そうか、それだったら」
「それだったら?」
「この出会い、神様に感謝するか」
智和は微笑んでアマンダの顔を見てこうも言った。
「アマンダと出会えたことも。それに」
「それに、なのね」
「一緒にいるのも神様に導かれてならこれからもだよな」
「そうね、これからもね」
「神様に導かれてか。このまま成り行きに任せていくか」
「そうしていくのがいいかもね」
「アマンダの話を聞いて思ったよ。じゃあそうしていこうか」
屈託がなく広い笑顔での言葉だった。
「これからもな」
「うん、それじゃあね」
「さてと、今からな」
智和はアマンダと話してこれからのことを決めてからそのうえでまた周囲を見回した。その平原と羊や犬達を見てこうも言った。
「羊達を牧場に戻すか」
「まだ早いわね。それよりもね」
「それよりも?」
「ちょっと北の方に行きたいの」
これがアマンダの今の言葉だった。
「何か気になってね」
「蛇でもいたのかよ」
「蛇じゃなくて野犬がいたらしいから」
「ああ、犬か」
「いたら危ないからちょっと見ていきましょう」
「そうだよな、羊が襲われたら厄介だしな」
「若しいたら保護してね」
野犬といっても殺せば終わりでなくなっている、動物保護団体はニュージーランドでも力が強いのである。
「それからどうかしないといけないから」
「じゃあ北の方だな」
「そっちに行きましょう」
アマンダは微笑んで智和に提案する。
「それで見に行きましょう」
「わかった、それじゃあな」
智和も笑顔で頷く。そうしてだった。
二人で北の方に馬をやった、それでそこで周りを見るが。
今は何も見えなかった、それでアマンダはほっとした顔でこう智和に言った。
「よかったわね」
「ああ、そうだな」
「いなくて。今いないだけかも知れないけれど」
「今度は犬達連れて念入りに探すか」
「そうした方がいいわね。今はね」
「帰るか」
智和はまだ周囲を見回しているがその上で言った。
「そうするか」
「そうしましょう。けれどね」
「今度は何だよ」
「一人では行かないことにしましょう」
こう智和に提案したのである。
「そうしましょう」
「?ああ
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