第二章
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「けれど羊ですか」
「嫌いかい?嫌なら観光旅行扱いで日本に帰ることになるぜ」
「いや、坊さんになりたくないですから」
これが彼の本音である。寺に入るよりはだ。
「ここで働かせてもらいます」
「日本とは色々と違うけれど頑張れよ」
「はい」
こう答えた彼だった。そして。
智和は牧場で住み込みで働くことになった。羊の数は多くしかも従業員は少ない、牧場の仕事は肉体労働でありかなり辛くはあった。
しかも朝早い、だが彼は笑顔で働いていた。
その彼に牧場のオーナーは仕事をしながら尋ねた。
「あんた結構平気みたいだね」
たどたどしい日本語で言ってきた。
「牧場の仕事が」
「ええ、まあ」
智和は丁度羊の糞を一つの場所に集めていた、そのうえでの言葉だった。
「中学からずっとバレーやってまして」
「体力はあるんだな」
「それなりに自信があります」
そうだというのだ。
「だからこれ位は」
「だといいがね」
オーナーは笑顔で笑って言った。大柄でブロンドの髭に顔の下半分が覆われた気さくな人である。
その彼が智和に今度はこう言ってきtあ。
「まあ日本はな」
「オーナー日本語喋りますね」
「実は日本にいたことがあるんだよ」
「あっ、そうなんですか」
「大学じゃ酪農を専攻していたがね」
牧場のオーナーらしくそうだったというのだ。
「その時に日本に留学したんだよ」
「日本にですか」
「北海道にね。そこで日本の酪農を見たんだよ」
「それでその時に」
「日本語を覚えたんだよ」
「そうだったんですか」
「難しい言葉だよ」
ここでオーナーは苦笑いににあった。
「英語と全然違うからな」
「よく言われますね」
「けれど何とか覚えたよ」
こうたどたどしいが何とか話すのだった。
「読み書きもできるしね」
「そうですか」
「それであんたもな」
「はい」
「英語覚えてくれた方がいいからな」
ニュージーランドも英語だ、だからだ。
「そうしてくれよ」
「わかりました。それじゃ」
「言葉は覚えるに限るよ」
その国の言葉をだというのだ。
「だからそっちも頑張ってくれよ」
「わかりました。羊の世話と一緒にですね」
「時期が来たら。わかるよな」
オーナーはここで思わせぶりな笑顔になって智和に言ってきた。
「毛をな」
「ああ、羊毛ですか」
「羊は肉だけじゃないからな」
羊毛も大切な売買の対象だ、羊はこうしたことも使える生き物なのだ。
「それもやるからな」
「バリカンで刈るんですね」
「いや、それはもうしないよ」
「えっ、バリカンは使わないんですか」
「今はチョッキみたいなのを着せてそれで一気に引き剥がすんだよ」
そうして羊毛を取るというのだ。
「そうしているんだ
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