第五章
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すか」
「売れませんか」
「はい、無理です」
おじさんは残念そうに言った。
「何故そうなのか理由は言えませんが」
「じゃあ僕達もですか」
「言わないということですね」
「お願いします、あんなのがマンションに出て来ているとわかれば住人の人達が逃げます」
住んでいないがそれでも出て来るというだけで充分だった。
「ですから」
「そういうことですね、じゃあ」
「誰にも言いません」
「それでお願いします、私も誰にも言いません」
おじさんは自分にも念を押した。
「あんな変質者が町を普通に歩いているだけでも怖いというのに」
「世の中妖怪や幽霊より怖いのがいるんですね」
高雅はしみじみとして言った。
「そうなんですね」
「あんな怖い思いをしたのははじめてです」
小百合もあの時のことを思い出して青い顔で言った。
「本当に」
「全くですよ、もう二度と会いたくないです」
おじさんは憔悴しきっていた、そしてあの部屋は物件から外して跡を継ぐ息子にも絶対に売るなと伝えた、その恐ろしい訪問客のことを脳裏に思い出したくもないのに思い出しながら。
訪問客 完
2012・12・23
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