第五章
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「いや、本当に」
「言えません」
「とても」
二人もまたこう言ったのだった。
「あんなのが世の中にいるなんて」
「恐ろしいですよね」
「本当に皆さんこう仰るんですよ」
おじさんは怪訝な顔になって二人に話す。
「見たものを絶対に言おうとしないんですよ」
「そうですよね」
「それは」
「ええ、不思議なことに」
「それならあそこに何日かいて下さい」
「そうすればわかります」
「ううん、本当に何なんですかね」
おじさんは二人の言葉に首を捻る。
「一度確かめてみましょうかね、私も」
「是非そうして下さい」
「そうすればわかりますから」
「じゃあ今度そうしてみます」
おじさんは怪訝な顔で述べる。
「何日か」
「何を見ても驚かないで下さいね」
「いや、本当に」
「ええ、それじゃあ」
おじさんは二人にあらかじめ用意していた部屋の鍵を渡した、二人にとってこの話はこれで終わりだった。
そして今度はおじさんがその部屋に入ってみた、そして一週間後。
二人を喫茶店に呼んで憔悴しきった顔でこう言った。
「いや、見てはいけないものを見ましたよ」
「そうですか、やっぱり」
「見たんですね」
「私はブリーフ派じゃないですけれどね」
これは高雅も同じだ。
「いえ、それもですよ」
「もうブリーフは嫌ですね」
「はい、見るのも」
こう高雅に言う。
「あんな変質者が世の中にいるなんて」
「あれは何者なんですか?」
「ここに来る前にネットで調べたそうですがブリーフ13というそうです」
「ブリーフ13?」
「はい、それです」
如何にもという名前だった。
「職業住所不定ですが」
「経歴は」
「それも不明です。国籍も」
おじさんは彼の職業がスナイパーであることを知らない、このことを知っているのは世界の僅かな者達だけである。
「アジア系なのは間違いありませんが」
「そうなんですか」
「ネットで時折何処かに出没する変質者と噂されています」
これが巷でのブリーフ13の評価だ、間違いではない。
「それが出て来ていたのですね」
「そうだったんですか」
「あの部屋の前に」
「どうして出て来るのか私にはわかりません」
また二人に言うおじさんだった、おじさんはあの部屋にいることがブリーフ13にとって仕事の依頼の合図、何故そうなっているかはわからないがそうなっていうことも知らない。
「ですが出て来るんですね、あの部屋の前に真夜中に」
「ううん、そうだったんですか」
「その変質者が出るんですね」
「いや、私も驚きました」
真夜中に扉を開ければブリーフにネクタイの変質者が股間を誇張して立っていて驚かない筈がない、昼でも怖い。
「あの部屋はもう駄目ですね」
「もう物件として駄目で
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