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第三章
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「スタンガンあるし」
「用心してるな」
「自分の身は自分で護らないとね」
「それでか」
「そう、それに一人で行くより二人で行く方がいいし」
「じゃあ行くか」
「そうしましょう」
 二人で言ってそうしてだった。
 高雅と小百合は二人でベッドから出て扉のところに行った、その間チャイムは二回鳴った。
 扉のところに行き高雅が扉の覗き穴に目をやった、だがだった。
「!?」
「どうしたの?」
「いや、いないんだけれどさ」
 扉の向こうを覗きながら首を捻って言う。
「誰もさ」
「誰もなの」
「ああ、誰もなんだよ」
 いないというのだ。
「誰もさ」
「悪戯?ピンポンダッシュ?」
「それか?」
「真夜中に悪質な悪戯ね」
「だよな。じゃあまた寝るか?」
 高雅は穴から目を離して小百合に返した、だが。
 ここでまたチャイムが鳴った、それでだった。
 高雅はまた穴を覗いた、しかし今回もだった。
「おい、いないぞ」
「今チャイム鳴ったのに?」
「ああ、いないよ」
 穴からは誰も見えなかった、本当に。
「誰もな」
「どういうことよ、それって」
「俺に言われてもわからないよ」 
 こう返すしかない高雅だった。
「そんなのさ」
「覗き穴の死角からチャイム鳴らしてるのかしら」
「そうかもな。悪質な奴だよ」
「そうね。だったらね」
「だったら?」
「今外に出るのは危険だから」 
 小百合はとかく用心深い、外に出て相手が仕掛けてくることを警戒してそれで夫にこう言うのだった。
「もう寝ましょう」
「チャイムは無私するんだな」
「今度鳴ってもね、仕方ないわ」
「そうするか。それじゃあな」
「一日寝られないより安全よ」
 それを優先させるというのだ。
「例えまだ鳴らしてきてもね」
「わかった、じゃあな」
「ベッドに戻りましょう」
 こう夫に言う。
「夜も遅いし」
「そうだな、鍵もかけてるし」
「それじゃあね」
 二人でこう話してだった、まだチャイムは鳴っているがそれでも無視することにして二人でベッドに戻った、この日は朝までチャイムが鳴っていた。
 それであまり眠れなかったが次の日は何もなかった、二人はこのことを喜んだがそれからまた数日後だった。
 またチャイムが鳴る、それでだった。
 再び二人で扉の方に向かう、今度は二人共バットとスタンガンを両方持った。
 そのうえで扉のところでこう話した。
「扉開けるか?」
「そうしてね」
 小百合は高雅のその言葉に頷く。
「扉の前にいたらそいつを」
「遠慮なくだな」
「嫌がらせにしても悪質よ」
 小百合は攻撃する理由をそれだと言った。
「そもそも真夜中にこんなことするのって誰よ」
「このマンションの誰かか?」
 高雅はいぶかしみ
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