第六章
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「怪我してね」
「災難に遭ってるわよね」
「これってどういうこと?」
「土手のせいじゃないの?」
二人はこう話した。
「土手で髪の毛が伸びた影見て」
「手を吊ってる影見て」
「あの変質者の影も見てね」
後にわかったがあの変質者は大学の助教授だった、良家の子弟で昔から甘やかされて育ってきていたという。
我儘でおかしな言動ばかりして責任把握能力は皆無だったという。
そして元から狂気に満ちていてそれでだったというのだ。
「危なかったから」
「あの土手で見えたせいだと思ったけれど」
「違うの?」
「ひょっとして」
こう怪訝な顔で話す、その中で。
陽子がこう悠衣子に言った。
「ひょっとしてね」
「ひょっとしてって?」
「あの土手の道って」
その道の話をしたのである。
「不幸とかじゃなくて」
「あそこを通って不幸にならない?」
「ええ、知らせてくれる道じゃないかしら」
そうではないかというのだ。
「これから何が起こるのかを」
「予言?」
「ほら、あの変質者が学校に来た時も」
陽子はこの時の話もした。
「私達襲われてたじゃない」
「影だとね」
「それで逃げてたわよね」
「ええ」
悠衣子もそれは見ていた、二人の影は確かに包丁を持ったあの変質者の影から必死に逃げていた、だが現実は。
「実際はペイントボール投げたわよね」
「それに石も」
「逃げなかったわ」
陽子はこのことを言う。
「土手の通りにならなかったわよね」
「確かに。言われてみれば」
「つまりね」
陽子はさらに言う。
「未来は変わったのよ」
「襲われて逃げるんじゃなくて」
「そう、自分達で何とか出来たわよね」
「色々買ったからね」
ペイントボールの他にもだ、それこそだ。
殆どは使わなかった、しかし二人で必死に用意した。
陽子はそのことから愛実に話したのである。
「だから。未来は変わったから」
「あそこを通って不幸になるんじゃないのね」
悠衣子も陽子もそう考えていた、だがどうやらというのだ。
陽子は真剣な顔で話し続ける。
「そう、これから送ることを知らせてくれるのだとしたら」
「また行ってみて」
「そう、確かめてみない?」
「そうね」
悠衣子も陽子の話を聞いて考えていた、それでだった。
悠衣子もこう言ったのだった。
「それじゃあね」
「行くのね」
「ええ、そうしよう」
二人で決めてそうしてだった。
その日早速二人で土手を歩いてみた、すると今度は。
前から何かが来た、それはというと。
二人はある道を駆け足で横切ろうとしていた、影はそうなっている。
一台のトラックだった、トラックはふらふらと左右に揺れている、どうやら居眠りか酒を飲んで運転している
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