第四章
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「何だと思う?」
「通り魔じゃないの?」
これが陽子の返答だった。
「やっぱり」
「そうよね、これってね」
「間違いないわよね」
陽子は自分と同じ表情の悠衣子に述べた。
「これは」
「どうしよう」
悠衣子も今はこう言うことしか出来なかった。
「通り魔なんて来たらもう」
「殺されるわよね」
「私殺されたくないから」
「私もよ」
死にたくない、この感情も二人共通だった。
「まだずっと生きて楽しい思いしたいから」
「デートもしたいし楽しいこともしたい」
「そうよね、だからね」
「絶対に死にたくないわよ」
二人で言い合う。その逃げた影は何時の間にかそれぞれの足に戻ってきていて本来の動きを果たしている。
「だからここは」
「どうしようかしら」
「ねえ」
悠衣子が言った。
「スタンガンとか持ってね」
「自分の身は自分で、よね」
「そう、護ろう」
これが悠衣子の提案だった。
「そんな奴が来るのならね」
「そうよね。そうしないとね」
「スタンガンに催涙スプレーに」
それにだった。
「ペイントのボールに警棒に後は」
「とにかく自分の身を護ってくれるものは何でも持って」
まさにそうしてだというのだ。
「護ろうね」
「死なない為にもよね」
「そう、だからね」
「わかったわ、それじゃあね」
陽子も頷いた。そうしてだった。
「私もね」
「人は一回は死ぬけれど」
このことは絶対だ。避けられるものではない。
だがそれでもだった、悠衣子は怯えを見せて陽子に言った。
「まだ十代でしかもね」
「殺されるとかね」
「通り魔でも変質者でもよ」
相手が誰でもだというのだ。
「殺されたらまたらないわよ」
「そうね、じゃあ」
「自分の身を護るのは自分よ」
「自分以外にないからね」
「だからね」
それでだと話してだった。
二人はすぐにスタンガンに催涙スプレー、それに特殊警棒やペイントボールといった護身用の武器や道具を買い揃えた、そのうえでだった。
身の回りをいつも警戒しだした、そうしていて。
数日後だった、午前の授業が終わり昼休みになったところで。
二人は食堂に向かおうと渡り廊下を歩いていた、そこでだった。
「何だこいつ!」
「どっから入って来たんだ!」
「おい逃げろ危ないぞ!」
「刃物持ってるぞ!」
「!?まさか」
悠衣子は前から聞こえてくる声に血相を変えた。
「出たの!?」
「学校で!?」
横にいる陽子も思わず声をあげた。
「出て来たの!?」
「学校に入って来たの!?」
こうした事件も起きる様になっている、物騒になったものだ。
だから悠衣子もその可能性を否定出来なかった、そしてだった。
前から生徒達が逃げて
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