第三章
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「それでもなのね」
「今度は陽子が」
「一体何が起こるの!?」
陽子は自分だけが見えるその影に異様なものを感じながら述べた。
「これって」
「何かしら、本当に」
「怪我するとかかしら」
陽子は不吉なものも感じた、そして実際にだった。
家の仕事である風呂場を掃除している時に滑ってこけてだった、その時代に。
左手を誤ってついてしまい手首を捻挫した、それでだった。
陽子は次の日その左手を包帯で首から吊って登校した、そのうえでやはり、といった顔になる悠衣子に言ったのである。
「骨には何もないけれどね」
「怪我、したわね」
「捻挫よ」
陽子は眉をこれ以上はないまでに曇らせて悠衣子に語った。
「全治一週間よ」
「大した怪我じゃないけれど」
「それでもね」
「ええ、影の通りになったわ」
悠衣子と同じ様にだ。
「本当にね」
「そうよね、これって」
「あの影って」
「ねえ、土手でよね」
悠衣子はここで気付いた。
「土手で影が映ると」
「そうそう、自分だけが見えてね」
「その通りになってない?私の髪も陽子の怪我も」
「何、これ」
二人で話す。
「これってどういうことかしら」
「予知とかかしら」
「だったら」
陽子ははっとした顔になって悠衣子に言った。
「若しもよ、あの土手で私達の影が事故に遭ったり誰かに刺されたりしたら」
「その通りになるっていうの!?」
「そうじゃないの?」
真っ青な顔になっての言葉だった。
「だって悠衣子の髪の毛も私の怪我も」
「そうなるっていうね」
「ねえ、これって」
また言う陽子だった。
「あの土手に何かあるのかしら」
「そうかも知れないわね、あのね」
悠衣子も気付いたことに対して蒼白になって陽子に返した。
「また今度土手の道で歩いてね」
「そこで映る影の通りになったら」
「あの土手には間違いなく何かがあるわよね」
「そうよね、じゃあ怖いけれど」
陽子は悠衣子の言わんとしていることを察して彼女に言った。
「また一緒に歩いてみる?」
「土手の道ね」
「そうしてみる?」
「ええ、何が起こるかって思うと怖いけれど」
悠衣子が言い出したものだ、それならだった。
彼女も退かなかった、それでこう陽子に返した。
「それでもね」
「ええ、やってみましょう」
二人で話して決めた、そうしてだった。
二人は陽子の怪我が癒えてからまたあの土手に二人で並んで歩いた、歩きながら二人のそれぞれの影を凝視していた。
そうして影を見ているとだった、彼女達の影は。
最初は何もなかった、だが今回は。
後ろから包丁を持った影が来た、そしてだった、
その影が二人の影を襲う、二人の影は包丁を持った影を見て慌てて前に逃げた、主で
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