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猫の事務室
第二章
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 二人でプラットホームのところに行きます、アスファルトとコンクリート、それに木の屋根の古いプラットホームが二本の線路を挟んで二つあります。
 その事務室がある側のところに猫が寝ていました。
 若い駅員さんはその猫を見て言いました。
「いいねえ、猫はやっぱりいいよ」
「先輩本当に猫好きですね」
「好きだよ。そうだ」
 若い駅員さんは猫を見ながらにこにこことしています。その笑顔で新人さんにこんなことを言ってきたのです。
「そうだ、猫の餌だよ」
「猫の餌?」
「ちょっと国道の方に行ってキャットフード買ってきてくれるかい?」
 自分のお財布から千円札を出して言います。
「この子の御飯をね」
「餌あげるんですか」
「お腹空かしていたら可哀想じゃないか」
 それが餌を買う理由でした。
「だからね。すぐにね」
「それはいいですけれど」
「自転車でね」
 駅から少しいくと国道があります、その国道には車が沢山行き交っていてお店も一杯並んでいるのです。
 そこに行ってそしてだというのです。
「買ってきてよ」
「先輩のお金で、ですか」
「足らなかったらもっと出すからさ」
 もう千円出してきました。
「買ってきてよ、一杯ね」
「わかりました。それじゃあ」
 駅は今日ものどかです。新人さんも断る理由はありませんでした。
 新人さんは自転車でお店に行ってキャットフードを一杯買ってきました、若い駅員さんはそのキャットフード、それにお水を空いているお皿に入れて猫に出します。
 すると猫はすぐに起きて御飯とお水を食べて飲みます。若い駅員さんはその猫の頭を撫でながら目を細めさせて言いました。
「これから駅に来た時はさ」
「こうして御飯をあげるんですか」
「どうせ暇だしね」
 電車は少なくお客さんも僅かです、それならというのです。
「それならいいじゃないか」
「確かに。僕も」
「暇だからいいだろ」
「実際暇で困ってました。それに」
「猫は好きだな」
「結構好きです」
 新人さんもそうでした、この人も猫は好きでした。
「猫は」
「それならいいね。この猫が来たら」
「はい、こうして御飯やお水をあげましょう」
「そして可愛がればいいさ」
「そういうことですね」 
 新人さんもにこにことして応えます。この日からでした。
 この猫は毎日駅に来るようになりました、それを見てです。
 駅長さんもにこにことしてこう言うのでした。
「いや、これまでは何もなかった駅だけれど」
「それがですね」
「変わりましたね」
「うん、猫がいるよ」
 こう二人に言うのでした。
「嬉しいよ、野良猫みたいだけれどね」
「首輪がないですからね」 
 ここで新人さんが言いました。
「それを見ますと」
「そうだね。野良猫だね」
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