第一幕その二
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であっても」
「では妄想の女王からの警告を」
「歌うのか?マーキュシオ」
「歌ならいいだろ?」
ワインがたたえられた杯を右手に言う。
「マブの女王の歌を」
「君のお得意だね」
「ああ、それじゃあ」
彼は歌いはじめた。それはバラードであった。
「マブは妄想の女王、夢の城の中にいて世界を飛び回る。目にも止まらぬ速さで馬車で飛び交い世界を回る」
「彼女の御者は?」
「蚊なのさ」
仲間の問いにバラードで応じる。そして歌を続ける。
「鞭の柄は蟋蟀の骨で手綱は月の光。女王の持ち物はどれも不思議なものばかり。やもめや貧乏人をからかい、そして笑う。兵士にワインをかけて濡らして遊ぶ稀代の悪女さ」
「何時聴いても不思議な歌だ」
ロミオはその歌が終って述べる。
「幻を歌っているのか」
「幻だけじゃないんだ、これが」
マーキュシオは言う。
「女性そのものも歌っているのさ」
「女の人をかい!?」
「そうさ。女ってのは勝手な生き物だからね」
シニカルに笑って応える。
「そういうふうに我儘に意地悪に振舞うものさ。君はまだそれを知らないみたいだね」
「知っているも何も」
ロミオは口を引き締めて言う。
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