暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第109話:隊舎復活
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、準備を終えてたむろしている
隊員たちのもとへと歩いて行った。
その場に残された俺は、準備の出来栄えを確認するために、ホールの中央に
向かって歩を向ける。
確認といっても挨拶のために置いたステージぐらいしか見るべきところはない。
ものの数分で確認を終えた俺は、左腕の時計に目をやる。
式典の開始まで、まだ30分以上あった。

「暇だな・・・」

「何を一人でブツブツ言ってるんだ、君は」

思わずボソリと呟いた独り言に、思いがけずツッコミが入った。
声のしたほうに目を向けると、呆れたように俺を見るクロノさんが立っていた。

「クロノさんじゃないですか。なぜこんなところに?」

「忘れたのか? 僕は機動6課の後見人の一人だぞ。この新隊舎の工事費用の
 融通にだって尽力したんだから、完工式典ぐらい出席してもいいだろう」

「それはそうですけど、忙しいんじゃないんですか?」

「忙しいとも。そこをやりくりして来たんだ。感謝してほしいね」

クロノさんはわずかに胸を張り、俺の質問に対して答える。

「はあ・・・」

何と言ったものか考え付かずそんな微妙な返事を返したのだが、クロノさんの
耳には届かなかったようで、クロノさんはお構いなしに話を続ける。

「まあ、それはともかくとして新部隊の件だがな」

「なんです?」

俺が尋ねるとクロノさんは周りの様子を窺うようにして、俺の方に顔を寄せる。

「ここだけの話だが、来年4月に発足で管理局上層部と話がついた。
 そのつもりでメンバーの選定を頼むぞ」

「そうですか・・・。わかりました」

クロノさんにはそう答えたが、実際のところ俺自身はまだ新部隊の件については
納得しかねており、トントン拍子に話が進んでいくことに、不満を覚えていた。

「・・・なんだゲオルグ、なにか不満でもあるのか?」

「別に不満なんかないですよ」

クロノさんに向かって正直に言うわけにもいかず、俺はそう答えた。
すると、クロノさんは肩をすくめて苦笑する。

「顔に出てるぞ」

「・・・すいません」

「まあ、いいさ。 僕自身、少し強引だったのは自覚しているからな。
 だがな・・・」

クロノさんはそこで一旦言葉を止めて、俺の肩に手を置く。
その表情は直前までの苦笑とはうって変わって、真剣そのものだった。

「一度引き受けた以上、不満があろうがなかろうが責任が伴う。
 それは忘れるなよ」

「わかってますって」

「ならいいんだ。 おっ、もう時間だな。 じゃあまたな」

「はい」

クロノさんと別れてステージの脇に行くと、はやてをはじめとする
おなじみの面々がそろっていた。

「あっ、ゲオルグくんだ」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ