第二章
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そのうえで洞窟の中に入り進んでいく、その中でだった。
部下の一人が灯りに照らされた洞窟の中を見回しながらこう言った。
「虫はいますけれど」
「それでもだな」
照らされた中に虫は見えた、しかしだった。
「蝙蝠もいないな」
「普通この辺りの洞窟ならいますけれどね」
洞窟の天井を照らしても一匹もいなかった。
「どうしてですかね」
「妙だな。天敵でもいるのか」
「天敵?蝙蝠の」
「そうでなければ蝙蝠達にとって怖い何かがいるか」
広瀬は自分でも洞窟の中を手にしている松明で照らしながら言った、
「どれかだな」
「抜け道から出たとか」
部下の一人がその可能性を述べた。
「それですかね」
「それだと入り口があるだろ」
だが最初から蝙蝠達が入り口から出入りすることはなかった。それは彼等も見ている。
「あそこから出る」
「確かに。言われてみれば」
「広い場所から出るだろう、しかしそれもない」
「じゃあ最初から蝙蝠はこの洞窟にはいないんですね」
「そうだと思う。では何だ」
あらためて考える広瀬だった。
「ここにある謎は」
「わからないですね、本当に」
「それが」
「わからないから調べる」
理屈は簡単だった。
「そういうことだな」
「はい、それじゃあですね」
「行きますか」
こうした話をしながら洞窟の中を調べていった、だがまずあ何も見付からなかった、そして洞窟の奥に来た。
その時に兵の一人がここで広瀬に言った。
「あの」
「どうした?」
「あの、あれ」
彼が松明で照らした先を指差していた。そこには。
「あれ、蛇ですよね」
「!?でかいな」
「六メートルはありますよ」
照らされている岩の上にとぐろを巻いて寝ていた。それはかなりの大きさだった。
「あれだけあれば」
「人も食うな」
「はい、そうですよね」
「あいつか」
ここで広瀬も事情を察した。
「あいつが捕虜を食ってたな」
「そういうことですね」
「とりあえずだ」
広瀬はその眠っている大蛇を見ながら周囲に命じた。
「こうした蛇がここにいるとな」
「これ以上の犠牲者が出ますね」
「また食われていきますね」
「それは許されない、撃つぞ」
撃ってそして騒ぎの元を断つというのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「それでは」
部下達も広瀬の言葉に頷く、そうしてだった。
それぞれが持っている三八式小銃を構える、広瀬も同じく拳銃を構える。
そのうえでこう命じた。
「撃て!」
「撃て!」
攻撃命令が復唱される、そしてだった。
とぐろを巻き寝ている大蛇に一斉射撃が浴びせられる、銃弾は兵士の一人が照らしている中で放たれた。
銃弾は大蛇に当たった、だがだった。
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