第一話 箱庭召喚!
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驚愕もいいところであった。まさか、このジンとほとんど背丈の変わらない眼鏡の少年が、ここまで武闘派だとは思わなかった黒ウサギとジン。そして飛鳥と耀も驚きを隠せないでいた。
「これと、これと――あと、これが一番の大物です!」
一つ目は、先ほどのバイコーンの体型に勝るとも劣らない白い虎が包まれていた。バイコーンと同様に寝息を立てているという事は、恐らく眠っているだけなのだろう。
二つ目は、黒い犬――ヘルハウンドだった。こちらも寝ているだけではあるが、あの白い虎同様、相当の強さだったに違いはない。一体どうやって捕まえたのか、まったくの謎である。
そして最後の得物は――想像を絶する大きさだった。黒ウサギの身長の1,5倍はあるだろう巨大な体躯。恐らく、これだけは布で包めなくてこの状態にしたのだろう。
ジンと黒ウサギのコミュニティに関しては、とても喜ばしい事態ではあった。これほど巨大な、その上有名な幻獣を捕らえてくるなど、文句を付ける余地は何処にもなかった。
しかし、問題は別にあるのだ。その捕まえたものがおかしいのだ。
通常、人間は神格を持つ者には勝てない。こんなことは常識として知られていることである。どんな者であろうと、例外はないといっていいただろう。
しかし今目の前で、その例外は起こっていた。
彼が一番の大物と見せているのは――神格を持っているであろう、北米神話に出てくる番犬・・・・・・ガルムだったのだ。
「――なんで、なんでこんなところに」
「えーっと、一応訊きますけど、食べちゃダメですよね?」
「当たり前でしょう!?」
黒ウサギの言っていることが正論なだけに、勝はショボーンという音が聞こえてきそうな程目に見えてガッカリする。
そして、食べちゃダメなのが分かった途端に、恐らくもう必要がないと見たのだろう。勝はその動物たちの頬をペチペチと叩いて起こし、起こしたところでナイフをチラつかせ笑顔でその動物たちの顔を見ていると、動物たちは起きた順に我先にと逃げ去って行った。
「「「「・・・・・・」」」」
傍から見ていて、この少年は悪魔だと四人は確信した。ただナイフ一本をチラつかせただけで幻獣を怯えさせるなど、よほどの事が無い限りは有り得ないことである。きっと、四人の見ていない間に酷い目に遭ったのだろう。思わず逃げて行った幻獣たちに同情の視線を向けるのは、仕方のない事だった。
「あ、そういえば気になっていたのですが――十六夜さん、追わなくていいんですか?」
あっ、と小さく声を上げる黒ウサギ。そして十六夜が何をしたのか思い出したのか、今更になってプルプルと怒りで肩を震わせ、艶のある長い黒髪を緋色に染め上げる。まるで、今の彼女の怒りを表している
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